
「訪問鍼灸マッサージは、介護保険のサービスですか?」——大阪で訪問施術についてご相談を受けるなかで、よくいただくご質問です。
介護が必要になり、デイサービスや訪問介護、訪問看護などを利用し始めると、自宅や介護施設に来てもらうサービスは、すべて介護保険だと思われることがあります。
しかし、一定の条件を満たして受ける訪問鍼灸マッサージは、介護保険ではなく、健康保険の「療養費」という仕組みを利用します。制度の名前だけを見ると少し分かりにくいのですが、利用前にすべてを覚えていただく必要はありません。
大切なのは、訪問鍼灸マッサージは介護保険のサービスとは別の制度であり、医療保険を利用するためには、身体の状態や医師の同意など、いくつかの条件があることです。ここでは、訪問鍼灸マッサージと介護保険の違いについて、ご本人やご家族にも分かりやすくご説明します。
なお、本記事では一般に広く使われている名称として「訪問鍼灸マッサージ」と表記しています。のびのび訪問施術院の大阪院では、現在、はり師・きゅう師の国家資格を持つ施術者による鍼灸施術を中心に提供しています。
訪問鍼灸マッサージは医療保険の療養費制度です
医療保険を利用した訪問鍼灸マッサージは、病院の窓口で受ける一般的な保険診療とは少し仕組みが異なり、「療養費」として取り扱われます。一定の要件を満たした施術について、ご加入の健康保険が申請内容を確認し、療養費を支給するかどうかを判断します。
そのため、施術院が独自に「この方は医療保険を使えます」と決められるものではありません。医師から同意書が交付された場合でも、最終的な支給の可否はご加入の健康保険が判断します。
一方、訪問介護やデイサービスなどは介護保険のサービスです。原則として要介護・要支援認定を受け、ケアプランに沿って利用します。訪問鍼灸マッサージは医療保険の療養費制度であるため、介護保険の利用枠を使って受けるサービスではありません。
すでにデイサービスや訪問介護を利用している方でも、それだけを理由に訪問鍼灸マッサージを利用できなくなるわけではありません。
要介護認定を受けていなくても相談できます
訪問鍼灸マッサージを検討するために、要介護認定が必須というわけではありません。要介護認定を受けているかどうかではなく、医療保険の対象となる症状があるか、身体の状態などにより施術所へ通うことが難しいか、医師の同意を得られるかといった点を確認します。
たとえば、ご家族の介助がなければ外出できない方、車いすを利用している方、歩行時の不安が大きい方、外出による身体的な負担が大きい方などは、訪問施術について相談できる場合があります。
ただし、単に「自宅で受ける方が便利だから」という理由だけで、医療保険による訪問施術の対象になるわけではありません。訪問施術料は、歩行困難などのやむを得ない理由により、施術所へ通って施術を受けることが難しく、訪問による施術が必要と認められる場合に支給されるものです。
反対に、要介護度が高い方や介護施設に入居している方であっても、それだけで自動的に医療保険の対象になるわけではありません。年齢や介護度だけで判断せず、現在の症状と生活状況を一つずつ確認することが必要です。
医療保険を使うには医師の同意が必要です
鍼灸施術で療養費の支給を受けるためには、原則として施術を始める前に医師の診察を受け、はり・きゅうの施術について同意書を交付してもらう必要があります。同意書は施術院が発行するものではありません。
医師が患者様を診察し、現在の症状や治療状況などを確認したうえで、鍼灸施術への同意を判断します。また、同意書が交付されれば、無期限に医療保険を利用できるわけではありません。療養費の支給対象となる期間は、初回の施術または医師による再同意の日から、原則として6か月以内とされています。
その期間を超えて継続する場合は、改めて医師の診察を受け、再同意を得る必要があります。のびのび訪問施術院では、同意書の書式や医療機関へ依頼するときの流れをご案内しています。「主治医へどのように相談すればよいか分からない」という段階でも、現在の状況を伺いながら必要な手続きをご説明します。
病院の治療と何でも併用できるわけではありません
訪問鍼灸マッサージと介護保険のサービスは別の制度ですが、「医療保険なら、病院での治療とすべて同時に利用できる」という意味ではありません。鍼灸の療養費では、同じ疾病について、医療機関で投薬や処置などの保険治療を受けながら、同時に鍼灸の療養費を利用することは原則として認められていません。
診察、検査、鍼灸の同意書交付などは除かれますが、現在受けている治療内容によって判断が変わることがあります。たとえば、腰痛で訪問鍼灸を検討している方が、同じ腰痛について医療機関でどのような治療を受けているかは、利用前に確認が必要です。
お薬を服用しているという情報だけで、ご本人やご家族が自己判断する必要はありません。病名や薬の目的、診療内容が分からないことも多いため、必要に応じて主治医やご加入の健康保険へ確認します。
ケアマネジャーへの相談は必要?
訪問鍼灸マッサージは介護保険のサービスではないため、医療保険を利用できるかどうかをケアマネジャーが決めるものではありません。ただし、介護サービスを利用している方は、担当のケアマネジャーにも訪問鍼灸マッサージを利用することを共有しておくと安心です。
高齢の方の一週間には、デイサービス、訪問看護、訪問介護、通院、入浴など、さまざまな予定があります。新しい訪問予定を加える際には、ほかのサービスと時間が重ならないか、予定が多くなりすぎて身体への負担にならないかを確認することも大切です。
施術者だけで曜日や時間を決めるのではなく、ご本人やご家族、ケアマネジャー、介護職などが把握できる形にしておくと、日常生活の中へ無理なく取り入れやすくなります。
介護施設に入居している方も利用できる場合があります
有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などで生活している方も、身体の状態と施設の受け入れ条件によって、訪問鍼灸マッサージを利用できる場合があります。施設への訪問では、施術を受けられるかどうかだけでなく、訪問時間や入館方法、施術を行う場所についても確認します。
施設での生活には、食事、入浴、往診、リハビリなどの予定があります。入浴直後など疲れが出やすい時間を避け、ご本人ができるだけ落ち着いて過ごせる時間帯を施設スタッフと相談します。
同じ施設内で複数の方が施術を受ける場合には、同じ建物で同じ日に施術を受ける人数によって、訪問施術料の区分が変わる仕組みになっています。実際の自己負担額は、医療保険の負担割合や施術内容、同じ建物で施術を受ける人数などを確認したうえで、個別にご案内します。
訪問看護や訪問リハビリとは役割が異なります
訪問鍼灸マッサージ、訪問看護、訪問リハビリは、いずれもご自宅や施設で受けられることがありますが、それぞれ役割が異なります。訪問看護では、看護師などが療養上の世話や必要な診療の補助を行います。訪問リハビリでは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが、医師の指示に基づいてリハビリを行います。
訪問鍼灸マッサージでは、はり師・きゅう師が、医師の同意内容とその日の身体の状態を確認しながら、資格の範囲で施術を行います。どれか一つが、ほかのサービスの代わりになるわけではありません。
現在受けている医療や介護を中断して切り替えるのではなく、それぞれの役割を確かめながら利用を考えていく——そこが大切なところです。
大阪で訪問鍼灸マッサージを検討している方へ
制度について調べていると、「医療保険」「介護保険」「療養費」「同意書」など、似たような言葉が多く出てきます。分からないまま手続きを進めることに、不安を感じる方もいらっしゃると思います。
のびのび訪問施術院では、大阪市をはじめ、吹田市、豊中市、箕面市、茨木市などを中心に、ご自宅や介護施設への訪問を行っています。私たちが最初に確認するのは、制度上の書類だけではありません。
どのような痛みや不調があり、現在どのような生活をしているのか。外出するときには、どの程度の介助が必要なのか。病院では、どのような診療を受けているのか。ご本人やご家族のお話を伺いながら、必要な確認を順番に進めます。
- 介護保険を使っているけれど利用できるのか
- 介護施設に入居している家族について相談したい
- 同意書のことがよく分からない
- 現在受けている治療と併用できるのか確認したい
そのような段階でも構いません。訪問鍼灸マッサージの対象となる可能性や、医療保険を利用するために必要な手続きについて、現在の状況に合わせて分かりやすくご案内します。


