ご自宅で高齢の女性の腕を動かす訪問施術者

在宅で受けられる体のケアを調べていると、「訪問リハビリ」と「訪問鍼灸マッサージ」という、似ているようで違うサービスに行き当たります。どちらも自宅に来てもらえて、体を良くするためのもの。だからこそ、何がどう違うのか、うちの家族にはどちらが合うのか、迷いますよね。

この記事では、その違いを、費用や担当者、併用のことまで含めて分かりやすく整理します。

いちばんの違いは「目的」

訪問リハビリは、失われた機能を回復させるための訓練が主役です。歩く練習や関節を動かす練習、日常の動作の練習などを、計画的に行います。一方、訪問鍼灸マッサージは、鍼やお灸、体をほぐす手技で、痛みやしびれ、血のめぐり、体のこわばりに働きかけるのが中心です。「長引く痛みを和らげたい」「冷えやしびれを楽にしたい」「こわばった体をゆるめたい」という悩みに向いています。

どちらが良い悪いではなく、目的が違う。そう考えると分かりやすいです。ただ、線引きはきっぱり分かれるものでもありません。のびのびの訪問鍼灸マッサージでも、痛みのケアだけでなく、その方の状態に合わせて、関節を動かす練習や立ち座り・歩行の練習といった機能訓練を組み合わせます。つらい症状を和らげながら、動かしやすい体を保つ。この両方に取り組めるのが、訪問で続けていく良さでもあります。

ひと目でわかる、二つの違い

訪問リハビリ訪問鍼灸マッサージ
主な目的機能の回復訓練痛み・しびれ・こわばりのケア
担当する人理学療法士・作業療法士はり師・きゅう師(国家資格)
使う保険介護保険が多い医療保険(医師の同意書)
費用の枠要介護度ごとの限度額の中介護保険の限度額とは別枠

担当する人の資格が違う

誰が施術するのか、という点も違います。訪問リハビリを担うのは、理学療法士や作業療法士といったリハビリの専門職で、動作の分析や運動の指導を専門にしています。一方、訪問鍼灸マッサージを担うのは、国家資格を持つはり師・きゅう師です。鍼やお灸、東洋医学の考え方をもとに、痛みやしびれ、こわばり、血のめぐりにアプローチします。どちらも国家資格が必要な専門職で、得意とする領域が違う、というわけです。

使う保険と、費用の考え方が違う

費用の仕組みも違います。訪問リハビリは介護保険を使って受けることが多く、その場合は要介護度ごとに決まった介護保険の利用限度額の中から使います。デイサービスやヘルパーと同じ枠なので、他のサービスを多く使っている方だと、限度額が気になることもあります。

訪問鍼灸マッサージは、医師の同意書をもとに医療保険を使います。介護保険の限度額とは別枠なので、すでに介護サービスをいっぱいに使っている方でも、枠を圧迫せずに受けられます。自己負担は、1割の方で1回およそ395円から。距離に応じた往療料も現在はかからないので、追加の出張料はありません。

ご家族とともに施術者から説明を受ける高齢の女性

1回の施術は、どんな感じ?

訪問鍼灸マッサージの1回はおおむね20分から30分。まず体の状態やその日の痛み・こわばりを確認し、鍼やお灸で症状にアプローチします。あわせて、硬くなった筋肉をほぐす手技や、動く範囲を保つ機能訓練を、状態に合わせて組み合わせます。

施術のたびに体のようすを記録し、必要に応じて担当のケアマネジャーや医師にも共有します。他のサービスと足並みをそろえながら、在宅の生活を支えるチームの一員として関わる、という位置づけです。

こんな機能訓練も行っています

実際の例をお伝えすると、ある方には、まず足の指でタオルをたぐり寄せる練習から始めました。足首の動く方向を確かめて問題なく行えたので、椅子からトイレまでの歩行練習に進み、少しずつですが、手すりを使わずに2mほど歩けるようになっています。別の方の歩行練習では、歩幅を大きくしたり小さくしたり、緩急をつけながら進め、軽く支える程度でしっかりした歩行が確認できました。「少しこわい」とおっしゃる方も、声をかけながら一歩ずつ克服されています。

先月と比べて歩行の安定感が出てきた方もいます。歩く前に軽い筋力トレーニングとバランスの練習を行うことで、横から支える程度で安定して歩けるようになってきました。こうした機能訓練は、痛みのケアと組み合わせて、その方の「できること」を少しずつ広げていくために行っています。変化のあらわれ方には個人差がありますが、一歩の積み重ねが自信につながっていきます。

併用はできる?

結論から言うと、併用できるケースは多いです。使う制度が違うので、訪問リハビリで機能の回復訓練を受けながら、訪問鍼灸マッサージで痛みや冷えのケアを受ける、という組み合わせをされている方もいます。

ただし、状態や利用しているサービスの内容によっては、調整が必要なこともあります。今どんなサービスを使っているか、担当のケアマネジャーがいるかどうかを教えていただければ、無理のない組み合わせを一緒に考えます。関係する方々と連携しながら進めるので、ご家族が間に立って調整する負担も少なくて済みます。

訪問看護やデイサービスとの位置づけ

在宅のサービスには、訪問看護やデイサービスもあります。訪問看護は看護師が健康状態の管理や医療的なケアを行うもの、デイサービスは施設に通って入浴・食事・レクリエーション・機能訓練などを受けるものです。訪問鍼灸マッサージは、これらとぶつかるものではなく、痛みやしびれ、こわばりのケアという役割で、在宅の暮らしを支える一つとして加わります。どれか一つを選ぶというより、その方に必要なものを組み合わせていくイメージで考えると分かりやすいです。

結局、うちの家族にはどっち?

ざっくりした目安として、歩行や動作の機能回復を集中して行いたいなら訪問リハビリ、長引く痛み・しびれ・冷え・こわばりを和らげたいなら訪問鍼灸マッサージ、という分け方ができます。そして、その両方に困っているなら、併用も選択肢です。選ぶときは、「いま一番困っていることは何か」を軸に考えると決めやすいです。迷う場合は相談だけでも構いませんので、今の状況を聞かせてください。

よくある質問

訪問リハビリを受けていますが、鍼灸も足せますか。
制度が別なので、足せることが多いです。今の利用状況によっては調整が要る場合もあるので、状況を伺ったうえでご案内します。

どちらを先に始めればいいですか。
決まった正解はありません。いま一番困っていることが「動作の訓練」なのか「痛みや冷えのケア」なのかで考えると選びやすいです。迷う場合は、気軽に声をかけてください。

ケアマネジャーがいないのですが、相談できますか。
もちろんです。まだ介護保険のサービスを使っていない方や、どこに相談すればいいか分からない方には、地域包括支援センターなど、どこに相談すればよいかも含めてご案内します。まずは今の状況を聞かせてください。

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