五十肩の訪問鍼灸マッサージ

服を着替えるとき、髪をとかすとき、高い棚に手を伸ばすとき、そのたびに肩がズキッと痛む。夜になると肩がうずいて眠れない。五十肩や長引く肩の痛みは、日々の何気ない動作をひとつずつむずかしくしていきます。ご高齢になるほど回復に時間がかかりやすく、痛みをこらえて通院するのもおっくうになりがちです。ここでは、そうした肩の痛みに訪問鍼灸マッサージができること、注意したいサイン、費用まで、施術の現場からお伝えします。

要点から。五十肩(肩関節周囲炎)は、強く痛む急性期から、こわばりと可動域制限が目立つ慢性期へと移り変わります。鍼灸・手技でできるのは、こわばりを和らげ、血のめぐりを促し、動かせる範囲を保つ手助け。治すものではなく、変化には個人差があります。医師が必要と認め通院がむずかしければ、はり・きゅうの医療保険が使え、自己負担は1割の方で1回約395円が目安。ただし転倒後の激痛や、腕がまったく上がらずしびれを伴うときは、まず整形外科の受診が先です。

腕が上がらない、後ろに手が回らない。その肩の困りごと

髪を洗おうと腕を持ち上げた瞬間に肩がズキッとする。上着の袖に腕を通すのがつらい。帯や下着のホックを留めようと後ろへ手を回すと、途中で止まってしまう。五十肩、正式には肩関節周囲炎と呼ばれる肩の痛みは、こうした毎日の当たり前の動作を一つずつ狭めていきます。

とりわけこたえるのが夜です。日中はなんとかやり過ごせても、布団に入って肩を下にすると痛みでうずき、寝返りのたびに目が覚める。眠れない夜が続けば、体力も気力も削られていきます。腕がどこまで上がるか、どの向きで痛むか。この可動域と夜間痛こそが、五十肩の中心にある困りごとです。首から腕にかけてのしびれやこりが主なら、事情が変わってきます。そちらは首・肩のこり、腕のしびれで別に触れています。

痛む時期と、固まる時期。同じ肩でも中身が違う

五十肩には、おおまかな移り変わりがあります。はじめは、じっとしていても痛み、夜にうずく時期。次に、痛み自体は少し引くものの、肩がこわばって動く範囲がぐっと狭くなる時期。そして時間をかけて、少しずつ動きが戻っていく時期です。医学の話として厳密に線を引けるものではありませんが、今がどのあたりかで、してよいことがまるで変わります。

強く痛む時期に無理やり腕を回せば、かえってこじれます。反対に、痛みが引いてきたのに動かさないままでいると、肩は固まったまま残りやすい。休めるのか、動かし始めてよいのか。この見きわめを取り違えないことが、長引かせないための分かれ道になります。だからこそ、時期に合わせて中身を入れ替えていく必要があります。

まず受診したほうがよいとき

鍼灸やマッサージをおすすめする前に、正直にお伝えしておきたいことがあります。転んで肩を強く打ったあとの激しい痛み、肩の形が変わって見える、腕がまったく上がらず熱を伴う、腕にしびれや力の入らなさがある。こうした変化があるときは、まず整形外科などの受診を優先してください。骨折や腱の断裂、あるいは五十肩とは別の問題が隠れていることがあります。

とくにしびれを伴う場合は、首から腕へ伸びる神経が背景にあることもあり、自己判断は禁物です。医療機関で大きな異常がないと分かってから受けていただくほうが、ご本人もご家族も安心して続けられます。急な強い痛みや気になる変化があれば、施術の途中でも主治医への相談を先にお願いしています。

鍼灸・手技でできること、できないこと

鍼やお灸、手技には、こわばった肩まわりの筋肉をゆるめ、血のめぐりを助け、痛みを和らげる働きがあります。五十肩では肩の関節だけでなく、首すじや背中、肩甲骨のまわりまで一緒に固まっていることが多いので、そこまで含めて整えると軽くなる方がいます。動かせる範囲を保つための機能訓練も、痛みの時期に合わせてていねいに行います。これは追加料金のかかる別の給付ではなく、施術の中に含まれるものです。

一方で、これらは肩を治すものではありません。急性期の炎症そのものを消せるわけでもない。楽になったと話される方もいれば、時間のかかる方もいて、感じ方には差が出ます。できるのは、こわばりをほぐし、可動域を保つ手助けをしながら、回復していく体を支えることです。過度な期待をあおらず、できることとできないことを分けてお話しします。

通わずに、自宅で受けられる

肩が痛むと、その治療のために出かけること自体が難儀になります。上着の着脱がしんどい、つり革につかまれない、それだけで肩に痛みが走る。自宅で受けられることが、訪問のいちばんの利点です。決まった曜日と時間に伺うことが多く、生活のリズムにも組み込みやすくなっています。

初回は、いつからどんなふうに痛むか、夜は眠れているか、どの動作がつらいかをうかがい、肩そのものだけでなく首や肩甲骨、背中まで含めてどこが固いかを確かめます。痛みの強いうちは肩へ強い刺激を加えず、まわりの緊張をゆるめて血のめぐりを助けることを中心に。落ち着いてきたら、腕をやさしく動かす機能訓練を少しずつ組み合わせます。自宅では、ふだんの着替えや棚に手を伸ばす様子がそのまま見えるので、どの動作でつまずいているかをつかみやすいのも訪問ならではです。

料金と保険のしくみ

五十肩は、医療保険(療養費)で対象になる代表的な症状の一つです。はり・きゅうやマッサージが保険の対象となるのは、神経痛・リウマチ・頸肩腕症候群・五十肩・腰痛症・頸椎捻挫後遺症の6つ。医師の同意書があれば、要介護認定がなくても受けられます。同意書の手続きはこちらで進めますので、ご家族の手間はほとんどありません。保険の考え方をもう少し詳しく知りたい方は、神経痛は保険で受けられる?もあわせてご覧ください。

費用は、1回の施術が総額3,950円。このうち負担割合の分だけをお支払いいただきます。1割の方で約395円、2割で約790円、3割で約1,185円です。週2回続けても、1割の方なら月およそ3,160円におさまります。特別な割引ではなく、公的な医療保険にもとづく正規の料金です。この費用は医療保険で計算するため、介護保険の区分支給限度額とは別枠。デイサービスやヘルパーを使っているご家庭でも、枠を気にせず肩のケアを組み込めます。なお、同じ肩について医療保険のリハビリと鍼灸を同時に受けることには決まりがあるため、今の治療内容をうかがったうえでご案内します。

家での過ごし方と、続ける頻度

ペースは、週1回から3回ほど。痛みの強い時期はやや多めに、落ち着いてきたら間隔をあけて、と状態に合わせて調整します。1回はおおむね20分から30分。その日の痛みと動かしにくさを確かめながら、鍼・お灸・手技・機能訓練を組み合わせます。良くなってきたら、こちらから間隔をあける提案もします。

ご家庭でできることもあります。肩や首を冷やさない。痛くない範囲で、肩をゆっくり動かす。重い物を急に持ち上げない。ただ、動かしてよい範囲は自分では見きわめにくいものです。「そのうち治ると聞いたから」と我慢して過ごすうちに、肩が固まったまま残ってしまうこともあります。痛みを和らげながら、固まらないよう少しずつ動きを保つ。訪問のたびに、その方の今の時期に合った動かし方を具体的にお伝えします。

よくある質問

五十肩でも保険で受けられますか?
肩まわりの慢性的な痛み・こわばりについて医師が鍼やお灸での施術を必要と認め、通院がむずかしければ、はり・きゅうの医療保険の対象になる場合があります。要介護認定がなくても、医師の同意書があれば利用できます。まずは今の状態をお聞かせください。

五十肩に鍼灸の効果はありますか?
鍼やお灸には、こわばった肩まわりの筋肉を和らげ、血のめぐりを促し、痛みを軽くする働きが期待できます。楽になったと話される方もいますが、あらわれ方には個人差があり、肩を治すものではありません。できることは正直にお伝えします。

肩が上がらないのですが、保険の対象になりますか?
五十肩などで肩が上がらない、後ろに手が回らないといった慢性的なお悩みも、医師が施術の必要を認めれば医療保険の対象になる場合があります。自己負担は1割の方で1回およそ395円が目安です。今の動かしにくさを教えてください。

痛くて腕が上がらなくても受けられますか?
はい。痛みの強い急性期は無理に動かさず、まわりのこわばりを和らげ、血のめぐりを助けることを中心にします。ただし、転倒後の激しい痛みや、腕がまったく上がらず熱やしびれを伴うときは、まず整形外科などの受診をおすすめします。

整形外科に通っていますが、鍼灸も受けられますか?
同じ肩の痛みで医療保険のリハビリと鍼灸を同時に受けることには決まりがあるので、今の治療内容をうかがったうえでご案内します。お薬や注射との組み合わせも、状況を教えていただければ無理のない形を一緒に考えます。まずは相談だけでも構いません。

夜の肩の痛みにも対応できますか?
肩や背中まわりのこわばりが和らぐと、夜のうずきが軽くなり、休みやすくなる方がいます。眠れない日が続くと体力も気力も削られるため、痛みそのものだけでなく、眠りや一日の過ごし方まで見ながらケアします。変化には個人差があります。

五十肩はどのくらいで楽になりますか?
時期や状態によって差があり、はっきりした期間はお約束できません。強く痛む急性期を過ぎると動かしやすさが戻る方が多く、時期に合わせてケアを進めます。曖昧な期待をあおることはせず、できることを正直にお伝えします。

費用はいくらで、支払いはどうなりますか?
1回の施術が総額3,950円で、自己負担は1割の方で約395円、2割で約790円です。エリア内は別途の出張費や交通費はかからず同額。お支払いは月ごとにまとめてで、毎回、施術内容がわかる明細をお渡しし、内訳はあとからでも確認できます。

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