ご自宅で高齢の女性に施術を行う訪問施術者

「鍼って痛くないの?」「高齢の親にお灸をしても平気だろうか」「認知症があるから、嫌がって暴れないか心配」——初めて訪問鍼灸マッサージを考えるとき、こうした不安が次々と浮かぶのは当然のことです。受けるご本人はもちろん、付き添うご家族も同じように迷われます。

とくに鍼灸が初めての方は、どんなことをするのか、体にどのくらいの刺激があるのか、想像がつきにくいはずです。私たちは大阪のご自宅や介護施設へ伺い、その方が普段過ごしている場所で施術します。だからこそ、手順どおりに進めるのではなく、その日の体調や表情を見ながら加減していきます。

ここでは、初めて受ける前に知っておいていただきたいことを、ご本人とご家族の目線でまとめました。なお本記事では一般的な呼び方として「訪問鍼灸マッサージ」と表記しています。のびのび訪問施術院の大阪院では、現在はり師・きゅう師の国家資格を持つ施術者による鍼灸施術を中心にご提供しています。

初回から、いきなり鍼を打つことはありません

「施術者が来たら、すぐに鍼やお灸が始まるのでは」と身構える方は少なくありません。ですが、同じ年齢・同じ病名でも、体調も暮らしぶりも、鍼灸への感じ方も人それぞれ。まずはお話を伺うところから始めます。

いま困っていること、その日の体の様子、皮膚の状態、そして施術への不安。ひとつずつ確認しながら進めます。緊張が強い方には、何をするのかをお伝えし、体に触れられることに慣れていただくところからでも構いません。

たとえご家族が「ぜひ受けさせたい」と望まれても、ご本人がはっきり嫌がっているのに無理に進めることはしません。大切なのは施術を行うこと自体ではなく、ご本人が安心して受けられること。そこを出発点にしています。

「鍼は痛い」「お灸は熱い」——そのイメージ、少し違います

鍼と聞いて、注射針のような太いものを思い浮かべる方は多いものです。けれど、鍼灸で使う鍼は採血や注射の針とはまったく別物で、目的も形も異なります。実際には、その方の体の状態や刺激の感じ方を見ながら、使う道具も刺激の強さも調整していきます。

鍼が怖い方や皮膚が敏感な方には、刺さずに肌をなでるように使う方法もあります。お灸も、熱いのを我慢していただくものではありません。

ただ、熱さの感じ方には個人差があり、高齢の方のなかには熱さを感じにくくなっている方もいらっしゃいます。ですから「熱くない」という言葉だけを頼りにせず、施術する部分の皮膚そのものを見ながら進めます。もし熱い・痛い・むずがゆいと感じたら、遠慮なくその場でお伝えください。

施術前に伝えておきたいこと

初めての施術では、今かかっている病気や症状はもちろん、普段の暮らしぶりまで教えていただけると助かります。「最近つまずいて転んだ」「食が細くなってきた」「夜どうも眠れない」「肌に赤みや傷がある」——こうしたちょっとした変化が、その日どこまで施術できるかを見極める手がかりになります。

血液をさらさらにする薬を飲んでいる方や、治療中の病気がある方は、分かる範囲で構いませんのでお知らせください。薬の名前が思い出せなくても、お薬手帳を見せていただければ十分です。過去に鍼灸を受けて気分が悪くなったことがある方、肌が刺激に弱い方も、前もって一言いただけると安心して進められます。

これらをすべてご本人が説明できなくても心配いりません。施設で暮らす方であれば、ご本人の同意やプライバシーに配慮したうえで、施設のスタッフやご家族から普段の様子を教えていただくこともあります。

その日の体調によっては施術を見合わせます

訪問の日時が決まっていても、その日必ず施術できるとは限りません。高齢の方は、前回はお元気でも、数日後には調子を崩されていることがあります。熱がある、息づかいが苦しそう、いつもより意識がはっきりしない、顔色が悪い——そんなときは、施術よりもまず医療機関へ相談することを優先します。

とくに、急な激しい頭痛や胸の痛み、息切れ、ろれつが回らない、片側の手足に力が入らないといった症状は、一刻を争うことがあります。厚生労働省も、こうしたときは迷わず救急車を呼ぶよう呼びかけています。

施術者がその場にいても、鍼灸で様子を見るのが正しいとは限りません。ふだんと明らかに違うときは施術を中止し、ご家族や施設スタッフと連携して、受診や救急要請を判断します。呼ぶべきか迷ったら、救急安心センター事業「♯7119」で相談できる地域もあります。

認知症の方への施術で大切なこと

認知症があっても、訪問鍼灸マッサージを受けられないわけではありません。ただ、施術の内容がうまく伝わらなかったり、初めて会う施術者に警戒されたりすることはあります。ですから、いきなり体に触れたり道具を出したりせず、表情や言葉、体の動きを見ながら、少しずつ距離を縮めていきます。

その日の気分次第で、いつもは受けられる施術を嫌がられることもあります。「前回できたから今日も大丈夫」とは考えず、毎回その日のご様子を確かめながら進めます。

ご家族や施設のスタッフには、どんな声のかけ方だと安心されるか、苦手なことや触られたくない場所はないかを、先に教えていただけると助かります。どうしても落ち着いて受けられないときは、内容を変えたり、その日は見送ったりという判断もします。

国家資格を持つ施術者か確認しましょう

鍼やお灸を仕事として行うには、「はり師」「きゅう師」の国家資格が欠かせません。厚生労働省も、無資格者との見分けがつきにくいことや、無資格者による施術での健康被害の相談が寄せられていることから、資格の有無を確かめるよう呼びかけています。施術者がどの国家資格を持っているのかは、遠慮なく確かめてください。

そして、資格の有無だけでなく、高齢の方への対応に慣れているか、体調の悪い日に「今日はやめておきましょう」と判断できるか、ご家族や施設とちゃんと連絡を取れるかも大切な見極めどころです。

「必ず良くなる」「絶対に安全」と言い切る施術院には、むしろ注意が必要です。厚生労働省の広告ガイドラインでも、「絶対安全な施術」「絶対に治る施術」といった表現は虚偽広告にあたるとされています。体の反応や経過には個人差がありますから、良い面ばかりでなく、控えた方がよい場面や注意点まで説明してくれる院を選びたいものです。

ご家族が初回に立ち会えると安心です

ご家族が毎回付き添う必要はありません。ただ、初回だけは、できればご家族や普段の様子をご存じの方に同席いただけると安心です。ご本人が症状や飲んでいる薬をうまく伝えられなくても、そばの方がこれまでの経過を補ってくださると、こちらも状況をつかみやすくなります。

ご家族にとっても、施術の進め方や声のかけ方をその目で見ておくと、続けるかどうかを判断しやすくなります。遠方にお住まいだったり、お仕事や子育てで立ち会えなかったりする場合は、あらかじめ連絡の取り方を決めておきましょう。施設で受ける場合は、スタッフと訪問の日時や場所を調整し、必要な情報を共有しながら進めます。

施術後の小さな変化も確認します

施術が終わったら、すぐに立ち上がらず、少し様子を見てから動いていただきます。とくに立ち上がりに介助が必要な方やふらつきのある方は、施術後の移動にも気を配ります。

その日の夜や翌日に「いつもと違うな」と感じることがあれば、次回を待たずにご連絡ください。施術と関係があるか分からない変化でも構いません。いつ、どんな症状が出たのかを一緒に確認し、必要なら医療機関への相談をご案内します。

訪問鍼灸マッサージは、施術を行って終わりではありません。継続して受ける場合には、毎回の体調や反応を確認し、次の施術へつなげていくことが大切です。

大阪で初めて訪問鍼灸マッサージを検討している方へ

初めてのことに不安があるのは、ごく自然なことです。分からないまま受けてしまうのではなく、どんな方法を使うのか、体調が悪い日はどうなるのか、途中で「やっぱり嫌だ」と思ったら止められるのか——気になることは先に確かめておきましょう。

のびのび訪問施術院では、大阪市をはじめ、吹田市、豊中市、箕面市、茨木市などを中心に、ご自宅や介護施設への訪問を行っています。

  • 鍼やお灸を受けたことがなく不安がある
  • 認知症の家族でも受けられるか相談したい
  • 施設での普段の様子を踏まえて施術してほしい
  • 体調が変わりやすいため、安全面について確認したい

このような段階でもご相談いただけます。ご本人の身体の状態や生活環境、ご家族の不安を伺いながら、無理なく施術を受けられるかを一緒に確認していきます。

コラム一覧へ戻る