パーキンソン病に訪問鍼灸マッサージ

手足がこわばって固まる、動き出しの一歩が出ない、手がふるえる、体が前かがみに傾く。パーキンソン病とともに暮らすなかで、こうした体のつらさが少しずつ日々の動作を狭めていきます。神経内科での治療は続けながら、こわばりや痛み、動かしにくさのケアを、通わずに自宅で受けたい。そんなご家族の声は少なくありません。この記事では、パーキンソン病に伴う体のつらさに訪問鍼灸マッサージができること、できないことを、施術の現場から正直にお伝えします。

要点から。パーキンソン病の治療は神経内科での服薬が主で、訪問鍼灸マッサージはそれと並行して行う補助のケアです。病気の進行そのものを止めることはできませんが、筋固縮(こわばり)や痛みを和らげ、動かしやすさの維持や血のめぐりを支えることは期待できます。鍼灸に手技や機能訓練を追加料金なしで組み合わせ、薬の効き方の波に合わせて進めます。医師の同意書があれば医療保険で受けられ、自己負担は1割の方で1回約395円(施術の総額は3,950円)。通院がつらくなっても、慣れた家で続けられます。急な悪化やオンオフの強い変動があるときは、まず主治医へ。

動きにくさは、暮らしを少しずつ狭めていく

パーキンソン病では、筋肉が固くこわばる、動作がゆっくりになる、体が前かがみに傾く、歩き出しの一歩が出にくい、といった変化が現れます。診断もお薬の調整も神経内科の領域です。そこから生まれる体のこわばりや動かしにくさに、体の側から手伝えることがあります。

やっかいなのは、こわばりが悪循環を生むことです。動かしづらいから動かさなくなり、動かさないからいっそう固まる。関節の動く範囲がせまくなり、肩や腰に痛みが出てくることもあります。この輪をどこかでゆるめておくと、寝返りや起き上がりといった動作を保ちやすくなります。それは、介助するご家族の負担にもそのまま響いてきます。

治すためではなく、「動かしやすい時間」を増やすために

鍼やお灸、手でほぐす施術には、固くなった筋肉をゆるめ、血のめぐりを促し、痛みを軽くする働きが期待できます。あわせて、関節をやさしく動かして動く範囲を保つ運動を、その日の調子に合わせて行います。パーキンソン病は肩や腰、足のまわりが特に固まりやすいので、そこをていねいにゆるめていきます。

施術のあとに、手のふるえが少しやわらいだ、表情がやわらかくなった、という日もあります。ただ症状には波があり、感じ方には個人差があります。一度で大きく変えようとするより、動かしやすい時間を少しずつ積み重ねていく。長く付き合う病気だからこそ、その進め方が合っていると感じています。なお、病気に伴う痛みやこわばりを医師が施術の必要と認めた場合は、医療保険(はり・きゅう)の対象になります。

お薬が効く時間に合わせて伺う

パーキンソン病のお薬には、効いている時間と切れてくる時間があります。その差が大きい方もいて、同じ一日でも動きやすさがずいぶん変わります。ですから施術も、決まった型に流し込むのではなく、その時間の体に合わせて中身を変えます。

できれば体が動きやすい時間帯にうかがえると、無理なく体を動かせて、運動とも組み合わせやすくなります。どの時間が楽で、どの時間がつらいか。ご本人とご家族にうかがいながら、訪問の時間とペースを決めていきます。こわばりの強い時間でも、緊張をゆるめること自体はお手伝いできますので、調子に波があっても大丈夫です。

転倒を防ぐ体と、家でできること

歩きにくさやバランスの取りにくさは、転倒につながります。転んで骨折すれば、その後の暮らしが大きく変わってしまう。施術だけで転倒を防げるわけではありませんが、こわばりを和らげ、関節の動く範囲を保っておくことは、その備えのひとつになります。

家での過ごし方も、少しの心がけで変わります。体を冷やさない。痛くない範囲で、こまめに動く。同じ姿勢を長く続けない。介助のときは、力で動かすより、こわばりがゆるんだ頃合いを見て声をかけるほうが、お互いに楽なことが多いものです。その方に合った動かし方や、家の中で気をつけたい場所も、状態を見ながらお伝えします。

通わずに、慣れた家で受けられる

動き出しに時間がかかるようになると、外出そのものが重い負担になります。付き添いがないと動けない、外で転ぶのがこわい。そうした方にとって、出かけずに慣れた家で受けられることが、訪問という形のいちばんのよさです。

医師の同意書があれば医療保険で受けられ、自己負担は1割の方で1回およそ395円です。介護保険の限度額とは別の枠なので、訪問リハビリやデイサービスと組み合わせても使えます。たとえば週2回なら、ひと月およそ3,160円(1割の方)が自己負担の目安です。訪問にかかる費用も料金に含まれ、別途の出張費はいただきません。

こんな変化に気づいたら、まず主治医へ

急に動けなくなった。転んで強く体を打った。飲み込みにくさや息苦しさが強くなった。こうしたときは、施術より先に主治医へ相談してください。パーキンソン病は経過とともに状態が移り変わる病気で、大きな体調の変化には医師の判断が何より優先されます。のびのびでも、施術中にいつもと違う様子に気づいたら、その場で無理をせず、ご家族や主治医への相談をおすすめしています。安心して続けていただくために、ここは遠慮なく頼ってください。

よくある質問

パーキンソン病に鍼灸は効果がありますか?
病気そのものを治したり進行を止めたりするものではありません。できるのは、病気に伴う筋肉のこわばりや痛みを和らげ、動かしやすさの維持を支えることです。神経内科の治療を続けたうえでの補助のケアとお考えください。感じ方には個人差があります。

薬を飲んでいますが、鍼灸と併用して大丈夫ですか?
多くの場合は問題なく併用できます。飲んでいる薬や、主治医から言われていることは事前に教えてください。パーキンソン病の治療は神経内科の服薬が主ですので、それを尊重したうえで、体の状態に合わせて施術の内容を調整します。

筋固縮(こわばり)は自宅ケアで和らぎますか?
鍼やお灸、体をほぐす手技で、こわばった筋肉を和らげ動かしやすさを保つお手伝いができます。施術に加え、体を冷やさない、痛くない範囲でこまめに動かす、同じ姿勢を続けないといった日々の心がけもお伝えします。すぐに劇的にというより、続けることで動き出しが楽になる変化を目指します。

手のふるえも軽くなりますか?
ふるえそのものを止めるものではありません。ただ、こわばりが和らぐと体が動かしやすくなる方はいます。あらわれ方には波と個人差があるので、その日の状態に合わせて無理のない範囲でケアします。

パーキンソン病でも保険で訪問を受けられますか?
こわばりや動かしにくさ、痛みについて医師が施術の必要を認め、通院がむずかしければ、医療保険の対象になる場合があります。医師の同意書が必要で、手続きはこちらでお手伝いします。自己負担は1割の方で1回およそ395円が目安です。まずは主治医にご相談ください。

調子の波(オンオフ)がありますが大丈夫ですか?
その日の状態や薬の効き方に合わせて、無理のない範囲でケアします。体が動きやすいオンの時間帯に合わせて伺うこともできますし、こわばりの強い時間でも緊張をゆるめるお手伝いはできます。動きやすい時間帯を教えてください。

訪問リハビリやデイサービスと一緒に使えますか?
使えます。訪問鍼灸マッサージは医療保険を使い、介護保険の支給限度額とは別枠のため、訪問リハビリやデイサービスの回数を減らさずに組み合わせられます。体を動かす訓練と、こわばり・痛みのケアを、それぞれの役割で活かせます。

急に動けなくなったときはどうすればいいですか?
急に動けなくなった、転倒して強く打った、飲み込みや息が急につらくなったといったときは、施術より先に主治医や医療機関へご相談ください。大きな体調の変化は医師の判断が優先されます。落ち着いてから、体のケアを再開していきましょう。

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