
腰や膝の痛みをみてもらう場所を探すと、整骨院、整体院、マッサージ店、そして訪問鍼灸マッサージと、名前の似た選択肢がいくつも出てきます。高齢のご家族のために調べ始めた方から、「どこがどう違うのか、正直よく分からない」という声をよくいただきます。それぞれの役割を、資格・保険・訪問という3つの見方で整理します。どこが優れているという話ではなく、体の状態と暮らしぶりに合う先を選ぶための材料としてお読みください。
この記事のポイント
整骨院・接骨院は柔道整復師が担い、骨折や打撲、ねんざなど原因のはっきりしたけがが中心で、その負傷に対して保険が使えます。整体院やリラクゼーションのマッサージ店は、民間資格や資格を必要としない手技で、自費のリラクゼーションが主な役割です。訪問鍼灸マッサージは、はり師・きゅう師という国家資格者が、医師の同意にもとづく医療保険を使い、慢性的な痛みやしびれのある方の自宅へ伺います。1回の施術は総額3,950円、1割負担で約395円が目安。通院がつらい方の選択肢になります。
「整骨院・接骨院」は、急なけがを診てもらう場所
整骨院や接骨院で施術にあたるのは、柔道整復師という国家資格を持った人です。ここが力を発揮するのは、転んで手首をひねった、階段を踏み外して足首をくじいた、といったいつ・どこで痛めたかがはっきりしている急なけがです。骨折や脱臼、打撲、ねんざが中心になります。
こうした負傷には健康保険が使え、通いながら治していきます。逆に、いつからともなく続く肩こりや、なんとなく重い腰の張りといった慢性的な不調は、慰安が目的とみなされて保険の対象からは外れます。同じ体の不調でも、原因のはっきりしたけがかどうかで扱いが分かれる。そう覚えておくと迷いにくくなります。
「整体・カイロ・マッサージ店」は、自費でこりをほぐす場所
街でよく見かける整体院やカイロプラクティック、もみほぐしのマッサージ店。その多くは民間資格、あるいは資格を必要としない手技で施術しています。役割は、体をほぐしてこりをやわらげ、気持ちよく過ごしてもらうこと。いわゆるリラクゼーションが主になります。
料金は1回いくらの自費で、医療保険は使いません。自分の足で通えて、疲れやこりを楽にしたいという方には、身近で使いやすい先です。なお、出張型のマッサージやリラクゼーションと、保険を使う訪問鍼灸マッサージの違いは少しややこしいので、こちらの記事で別に整理しています。
「訪問鍼灸マッサージ」は、通えない人の家へ伺う場所
訪問鍼灸マッサージで施術するのは、はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師といった国家資格を持つ人です。対象になるのは、慢性的な痛みやしびれ、麻痺などがあって、医師がその治療の必要を認めた方。医師の同意にもとづいて医療保険を使うという点が、いちばんの特徴です。要介護認定は必要なく、医師の同意書があれば始められます。
のびのび訪問施術院では、鍼やお灸に、体をほぐす手技や関節を動かす機能訓練を、組み合わせています。これらに追加の料金はかかりません。そのうえで、施術者がご自宅まで伺います。通院がむずかしくなった方でも、住み慣れた家で受けられる。ここが、自分で通う三つの選択肢との一番の違いです。
資格と保険で見ると、違いがはっきりする
混乱しやすいので、資格と保険という二つの角度から並べてみます。まず資格。柔道整復師も、はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師も、いずれも国家資格です。整体やリラクゼーションのお店は民間資格によるものが多く、ここが一つの分かれ目になります。とはいえ、資格の有無だけで良し悪しが決まるわけではありません。慢性の痛みやしびれ、麻痺に向き合うなら、体の状態を見立てたうえでケアを組み立てられるかどうかが、頼る先を選ぶ手がかりになります。
次に保険。整骨院・接骨院は原因のはっきりした負傷に、訪問鍼灸マッサージは医師の同意にもとづく慢性症状に、それぞれ保険が使えます。整体やマッサージ店はすべて自費です。同じ「体をみてもらう」でも、保険の対象になる症状かどうかで、続けやすさも家計への響き方も変わってきます。保険が使える条件をもう少し詳しく知りたい方は、保険についての記事もあわせてお読みください。
通うか、来てもらうか。費用はどのくらいか
もう一つ、見落としがちな違いが「通うか、来てもらうか」です。整骨院も整体もマッサージ店も、基本は自分の足で通う場所。足腰がしっかりしているうちは、それで何も困りません。ですが、足腰が弱ってきた方や、麻痺や病気で外出がむずかしくなった方には、通うこと自体が重い負担になります。訪問鍼灸マッサージなら施術者が自宅へ伺うので、移動の心配がいらず、付き添って連れて行くご家族の負担も、あわせて軽くなります。
費用の面も見ておきましょう。訪問鍼灸マッサージは医療保険を使うため、かかった費用のうち自己負担分だけを支払います。のびのびの場合、1回の施術は総額3,950円、1割負担の方でおよそ395円が目安です。値引き価格ではなく、制度で決まっている料金です。週2回のペースだと、ひと月でおよそ3,160円(1割の方)。エリア内なら別途の出張費はかからず同額で、介護保険の限度額とも別枠なので、デイサービスやヘルパーと併用しても枠を圧迫しません。
高齢のご家族は、結局どこを選べばいい?
迷ったときの目安をお伝えします。転んで打撲やねんざをしたような急なけがなら、整骨院・接骨院。自分で通えて、こりをほぐして楽になりたいだけなら、整体院やマッサージ店が合うかもしれません。そして、長引く痛みやしびれ、麻痺があって、通院そのものがつらくなってきた高齢のご家族には、医師の同意にもとづいて自宅で受けられる訪問鍼灸マッサージが、無理のない選択肢になります。
ご本人やご家族だけで、どこが合うのか、保険が使えるのかを判断するのは、なかなかむずかしいものです。慢性の痛みを我慢して通院をあきらめてしまう前に、今の体の状態とお困りごとを聞かせてください。かかりつけの先生やケアマネジャーとも相談しながら、無理のない受け方を一緒に整理します。相談だけの段階でも構いませんので、まずは今の状況からお話しください。
訪問先で毎回していること
施術の前には、血圧や体温を毎回はかります。1回目に高く出ても、少しお話をして落ち着いてから測り直すと、正常の範囲に戻る方がいます。緊張しやすい方ほど、その差がはっきり出ます。その日の数値やご様子によっては、鍼を控えて手技やストレッチの比重を増やすこともあります。こうした体調の確認を毎回はさむのは、医師の同意にもとづいて医療保険で行う訪問施術ならではのところです。
よくある質問
整骨院と訪問マッサージ、どっちがいいですか?
けがの原因がはっきりしていて自分で通えるなら整骨院、慢性的な痛みやしびれがあって通院がつらいなら訪問鍼灸マッサージ、という分け方が目安です。今いちばん困っていることが「急なけが」なのか「長引く不調と通院のつらさ」なのかで考えると選びやすくなります。
整体と鍼灸は、何が違いますか?
整体の多くは民間資格によるもので、自費のリラクゼーションが中心です。鍼灸は、はり師・きゅう師という国家資格者が行い、医師の同意にもとづく医療保険を使えます。資格と保険の扱い、そして訪問で受けられるかどうかが主な違いです。
マッサージ店は保険が使えますか?
整体院やリラク系のマッサージ店は自費が基本で、医療保険は使えません。医療保険を使うには、医師が治療の必要を認めた慢性的な症状であることなど、一定の条件が必要です。訪問鍼灸マッサージはその条件に当てはまれば保険で受けられます。
整骨院と訪問鍼灸マッサージを両方受けてもいいですか?
目的や部位によって受け方は変わります。同じ病名・同じ部位で医療保険を重ねて使うことは原則できません。今の通院の様子を聞かせていただければ、受けやすい形をご案内します。
訪問鍼灸マッサージが保険で受けられるのは、どんな人ですか?
慢性的な痛みやしびれ、麻痺にともなうこわばりなどがあり、医師が治療の必要を認めて同意書を出してくれた方が対象です。当てはまるか分からないときも、まずは体の状態を聞かせていただければ、対象になりそうかをお伝えします。
費用はどのくらいかかりますか?
保険を使う場合、1回の施術は総額3,950円で、1割の方でおよそ395円が目安です。エリア内なら別途の出張費はかからず同額で、お支払いは月ごとにまとめて、明細をお渡しします。
自宅に来てもらうと、追加料金がかかりませんか?
エリア内であれば、別途の出張費(出張料・交通費)はかからず、どこでも同額です。通院にかかる移動の負担がなくなるぶん、通うのがつらくなった方でも続けやすくなります。
どこに相談すればいいか分かりません。
まだ介護保険のサービスを使っていない方や、どこに頼めばよいか迷う方には、地域包括支援センターなど公的な相談窓口も含めてご案内します。今の状況を聞かせていただければ、無理のない進め方をご希望をうかがって決めます。