背中の丸まりについて、ご本人とご家族に説明しているところ

亀背という言葉を調べて、次に「治し方」を探される方が多くおられます。背中が曲がってきたご本人が調べていることもあり、離れて暮らすご家族が調べていることもあります。はじめにお伝えしておくと、曲がってしまった背骨の形そのものを元に戻す方法は、鍼灸にもマッサージにも体操にもありません。ただ、それは何もできないという意味ではありません。戻すことと、これ以上進ませないこと、そして今のつらさを軽くすることは、別々の話です。できることとできないことを分けて書いていきます。

この記事のポイント

亀背でつぶれたり傾いたりした背骨の形は、元には戻りません。一方で、進み方をゆるめること、引っぱられてこわばった筋肉をやわらげて痛みを軽くすること、動かせる範囲を保って日常の動作を守ることはできます。急に曲がった、強い背中の痛みがある、脚に力が入らないときは、まず整形外科へ。骨の治療は医師が中心で、鍼灸とマッサージはそのまわりを支える役です。医師の同意があれば医療保険が使え、自己負担は1回およそ395円が目安です。

骨の形そのものは、元には戻りません

亀背では、背骨の一部が角ばって後ろに突き出た形になります。その多くは、背骨の骨(椎体)が前寄りにつぶれてくさび形になったことによるものです。つぶれた骨がふくらんで元の高さに戻ることはありません。手術で固定する方法はありますが、背中の曲がりを伸ばすためというより、痛みや神経の症状を抑えるために選ばれるものです。

ですから、鍼を打てば背中が伸びる、マッサージを続ければまっすぐになる、といった説明を見かけたら、いったん立ち止まっていただきたいところです。当院もそれはできません。できないことをできると言わないのが、長く続けていただくための前提だと考えています。

それでも、できることは三つあります

ひとつめは、進み方をゆるめることです。背中の曲がりは、背骨を支える筋肉が落ちるほど、動かない時間が長いほど進みやすくなります。逆に言えば、支える力と動かせる範囲を保っているあいだは、進み方はゆるやかになります。ここは手入れが効く部分です。

ふたつめは、今あるつらさを軽くすることです。背中の曲がり自体は痛みません。痛むのは、傾いた体を支えようとして一日中引っぱられている腰や背中、首の筋肉です。ここをゆるめれば、骨の形が同じままでも楽になります。実際にご相談の多くは、曲がりそのものよりこちらです。

みっつめは、暮らしの範囲を守ることです。前が見づらいから歩かなくなる、食事がしにくいから量が減る、という連鎖を止めておくこと。座り方を変える、机の高さを直す、腕を上げる練習を続ける。地味なことの積み重ねですが、一年後の差は大きくなります。

治し方を探しているとき、まず確かめてほしいこと

ケアの前に、確かめておきたいことがあります。次のようなときは、整形外科などでの受診を先にしてください。

ここ数週間から数か月で急に曲がってきた。背中や腰に強い痛みがあり、寝返りや起き上がりでひどくなる。脚に力が入らない、足裏の感覚がおかしい、尿が出にくい。発熱や体重の減りをともなう。こうしたときは、新しい圧迫骨折や神経の圧迫が起きていることがあります。それを確かめられるのは画像を撮れる医師だけです。

また、骨がもろくなっていることが背景にある場合は、その治療そのものが「これ以上進ませない」ための一番の手立てになります。骨の状態を調べたことがなければ、そこから始めていただくのが順番として早道です。骨がもろくなると背中は丸くなる?骨粗鬆症と円背・亀背のつながりもあわせてご覧ください。

骨の治療は医師が、こわばりは鍼灸が

役割を分けて考えると、迷いが減ります。骨の強さを保つこと、つぶれた骨の経過をみること、痛みが強いときの薬。ここは医師が受け持つ部分です。鍼灸とマッサージが受け持つのは、そのまわりに残るこわばりと痛み、そして動かせる範囲です。

うかがったときは、背中だけでなく首から脚のつけ根まで順に確かめます。背中が丸い方は、胸の前側が縮み、肩甲骨のあいだが引き伸ばされ、腰が張りつめ、首の後ろが縮んでいることが多いためです。つらさの出どころが背中ではない、ということも起こります。

はり・きゅうの施術が医療保険の対象になるのは、慢性的な痛みやしびれ、麻痺にともなうこわばりについて、医師が治療の必要を認めて同意した場合です。亀背という状態そのものではなく、それにともなう腰痛や背中の痛みが対象になります。

力まかせに伸ばせば治る、とはいかない理由

背中を伸ばしたいと思うと、後ろから押したり、反らせたりしたくなります。ご家族が良かれと思ってされることもあります。ただ、これはおすすめできません。

骨がもろくなっている背骨に後ろから力をかけると、それだけで新しい圧迫骨折につながることがあります。また、縮んだ筋肉を勢いよく伸ばすと、翌日に痛みが出て動きたくなくなり、かえって固まることもあります。

動かすなら、今ある範囲を使い切る程度で十分です。肩をゆっくり回す、胸を開く方向に腕を上げる、座ったまま体を左右にひねる、あお向けで膝を立てて左右に倒す。痛みが出ない範囲で、回数より続けることを大事にしてください。

家では、伸ばすより「支える」

目指すのは、まっすぐにすることではなく、丸い背中のまま楽に過ごせる形を作ることです。

いすは、足の裏が床につく高さに。背もたれとのあいだにできた隙間には、丸めたタオルや小さなクッションを入れます。机は少し高めにすると、あごが上がらずに済み、飲み込みも楽になります。あお向けで背中が浮いてつらいときは、膝の下に枕を入れると腰の張りがゆるみます。

同じ姿勢を長く続けないこと、背中と腰を冷やさないこと。この二つは、どなたにも当てはまります。場面ごとのこつは「円背の方の座り方・寝かせ方|車いす・食事・ベッドでの支え方」で詳しくご紹介しています。

ご家族が気づいたときに、まずすること

久しぶりに会ったら背中が丸くなっていた、という気づき方が多いものです。そのときにしていただきたいことが、いくつかあります。

まず、急な変化かどうかを本人に聞いてみてください。いつごろからか、痛みがあるか、転んだ覚えはあるか。心当たりのある転倒や、痛みが続いているようなら受診が先です。

次に、家の中を見てみてください。座っている時間が長いいすの高さ、テーブルの高さ、いつも座る向き。テレビが横にあって、一日中同じ方向にねじって座っている、ということもあります。手を伸ばすものが全部低い位置にあると、前かがみの時間はどうしても長くなります。

それから、本人が困っていることを聞いてみてください。姿勢そのものを気にしていないこともあり、むしろ「上の棚に手が届かない」「靴下がはきにくい」といった別の言い方で出てくることがあります。そこがケアの入口になります。

訪問というかたちで続ける

背中が曲がってくると、通うこと自体が負担になります。待合いのいすに長く座っていられない、車の乗り降りがつらい。そうして手入れが途切れると、こわばりは戻ります。

訪問での施術なら、いつもの場所で、そのままの姿勢から始められます。ふだんどう座り、どう寝ているかを見せていただけるので、支え方の助言もその家に合わせたものになります。ご家族にお時間があれば動かし方も一緒に見ていただきますが、ご本人おひとりのところへうかがう形でも続けられます。

費用は保険で、1回約395円から

医師の同意があって医療保険が使える場合、自己負担が1割の方で1回およそ395円が目安です。対応エリア内であれば、別途の出張費はいただきません。くわしい内訳は料金のページをご覧ください。

はじめての方には無料体験をご用意しています。できることとできないことを、実際に体を見せていただいたうえでご説明します。

よくある質問

亀背は鍼灸で治りますか?
曲がった背骨の形そのものを元に戻すことはできません。できるのは、引っぱられてこわばった腰・背中・首の筋肉をやわらげて痛みを軽くすること、動かせる範囲を保って進み方をゆるめることです。

何か月くらい続ければ変わりますか?
痛みやこわばりの軽さについては、数回で違いを感じる方もおられます。一方で、動かせる範囲を保つことや進み方をゆるめることは、続けているあいだ効いているという性質のものです。期間を区切って終わるものではなく、体調に合わせて間隔を調整しながら続ける形が多くなります。

家族が背中を押して伸ばしてあげるのはどうですか?
おすすめしません。骨がもろくなっている場合、後ろから力をかけることが新しい圧迫骨折につながることがあります。伸ばすのではなく、座るときに背中の隙間をクッションで埋める、机の高さを合わせるといった支え方に切り替えてください。

亀背そのものは保険の対象になりますか?
背中が曲がっているという状態そのものではなく、それにともなう腰や背中の慢性的な痛み・しびれなどについて医師が治療の必要を認めた場合に、はり・きゅうの施術が医療保険の対象になります。

もう高齢なので、今からやっても意味がないのでは?
年齢で区切って考える必要はありません。動かせる範囲を保つこと、痛みを軽くすることは、何歳からでも取りかかれます。むしろ動かない時間が長い方のほうが、手入れの効き方は大きく出ます。

対応しているのはどの地域ですか?
大阪府では豊中市・吹田市・茨木市・高槻市・箕面市・摂津市・池田市、大阪市では淀川区・東淀川区・都島区・北区・旭区、兵庫県では尼崎市・伊丹市にうかがえます。エリア内は別途の出張費がかからず、どこでも同じ料金です。