
手足の関節が曲がったまま伸びにくい、握った手が開かない、膝がまっすぐにならない——動かさない時間が長く続くと、関節は少しずつ固まり、動く範囲がせまくなります。これを拘縮(こうしゅく)といい、進むほど寝たきりに近づきやすくなります。一度進むと元に戻すのは簡単ではありませんが、早い時期からやさしく動かし続けることで、進み方をゆるやかにし、今ある動きを保っていくことは目指せます。この記事では、拘縮と寝たきりを防ぐために自宅でできるケアと、訪問鍼灸マッサージの役割をお伝えします。
要点から。動かさない時間が続くと関節が固まり(拘縮)、寝て過ごす時間が増えて寝たきりが進みます。これを防ぐ在宅ケアが訪問鍼灸マッサージです。国家資格者がご自宅にうかがい、関節をゆっくり動かして可動域を保つ機能訓練を、はり・きゅう・マッサージと組み合わせて行います。医師が必要と認めれば医療保険の対象で、1回3,950円・1割負担ならおよそ395円。別途の出張費はかかりません。介護保険の区分支給限度額とは別枠で、要介護認定は不要ですが医師の同意書が必要です。効果のあらわれ方には個人差があります。
拘縮とは?なぜ関節は固まるのか
拘縮は、関節を動かさない時間が続くことで、関節のまわりの筋肉や組織が硬くなり、動く範囲がせまくなった状態です。寝て過ごす時間が長い方、麻痺で自分では動かしにくい方、痛みが気になって動くのを控えている方などに起こりやすくなります。
やっかいなのは、動かさない、硬くなる、さらに動かしにくくなる、という悪循環に入りやすいことです。だからこそ、こわばりが進む前に、あるいは今からでも、関節をやさしく動かし続けることが大切になります。手足の小さな関節から、股関節や膝の大きな関節まで、拘縮はどこにでも起こりえます。
拘縮と「寝たきり」はつながっている
拘縮が進んで体を動かしにくくなると、寝て過ごす時間がさらに増え、筋力の低下や、むくみ・床ずれ・肺炎といった別の不調にもつながりやすくなります。関節が動かないことが、生活全体の活動量を下げてしまうのです。
逆に、関節の動きと、少しでも自分で動ける範囲を保つことは、寝たきりの状態を遠ざける支えになります。寝たきりを防ぐという視点では、関節のケアはとても大切な一歩です。あわせて再入院を防ぐ在宅ケアの考え方も参考になります。
予防の基本は「こまめに、やさしく動かす」こと
拘縮の予防でいちばん大切なのは、関節をこまめに、やさしく動かすことです。無理に大きく動かす必要はありません。痛くない範囲でゆっくり曲げ伸ばしをするだけでも、関節の動きを保つ助けになります。
ただし、力の入れ方や動かす方向を誤ると、かえって痛めてしまうことがあります。ご家族だけで続けるのは不安、という声も多く、正しいやり方を専門家と一緒に確かめながら続けることが、安心と継続につながります。
訪問鍼灸マッサージができること
鍼やお灸、体をほぐす手技には、こわばった筋肉をやわらげ、血のめぐりを促す働きが期待できます。筋肉がゆるむと、そのぶん関節も動かしやすくなります。そのうえで、関節をやさしく動かして可動域を保つ機能訓練を、その方の状態に合わせて行います。機能訓練は施術に含まれるケアで、追加の料金はかかりません。
寝たきりに近い状態の方でも、寝たまま・座ったままでできるケアから始められます。今ある動きを守りつつ、少しずつでも動かしやすさを取り戻していくことを目指します。あらわれ方には個人差がありますが、止めずに続けることに意味があります。
なお、鍼灸マッサージはあくまで補助的なケアです。病気やけがそのものの治療は医療機関で受けることが主で、私たちは主治医と連携しながら、そのお身体を支える役割を担います。脳梗塞後遺症の在宅ケアや関節リウマチのこわばりのように、原因となる病気に応じたケアを心がけます。
保険と料金のこと
拘縮にともなう痛みやこわばり、動かしにくさについて、医師が治療の必要を認め、通院がむずかしい場合には、医療保険(療養費)の対象になることがあります。国家資格を持つはり師・きゅう師がご自宅にうかがって施術します。
料金は1回3,950円、自己負担は1割の方でおよそ395円、2割の方で790円、3割の方で1,185円が目安です。エリア内であれば別途の出張費・交通費はかかりません。たとえば週2回のペースなら、1割の方でひと月およそ3,160円が自己負担の目安です。
この訪問鍼灸マッサージは医療保険で受けるため、介護保険の区分支給限度額とは別枠です。デイサービスや訪問介護などの枠を気にせず利用できます。要介護認定は受けていなくても構いませんが、医師の同意書が必要になります。詳しくは料金のページもご覧ください。
動かす前に確かめたい「受診が先のサイン」
関節を動かすケアを始める前に、お伝えしておきたいことがあります。関節が急に赤く腫れて熱をもっている、動かすと強い痛みが走る、けがのあとで関節が変形している、皮膚に傷や湿疹などのトラブルがある——こうしたときは、ケアより先に医療機関を受診してください。
炎症やけがが背景にあるときに無理に動かすと、かえって状態を悪くすることがあります。急な発熱や、これまでと違う強い痛みがあるときも同じです。のびのびでは、こうした点を事前にうかがい、必要に応じて主治医とも相談しながら、安全にケアを進めます。
ご家庭で続けられる、やさしいケア
訪問のときには、ご家族が家でも続けられるように、その方に合った関節の動かし方や、体を痛めにくい介助のこつをお伝えします。体を冷やさない、同じ姿勢を長く続けない、こまめに体の向きを変える——こうした日々の心がけも、こわばりを防ぐ助けになります。
難しく考える必要はありません。負担にならない範囲で構いませんし、痛みが強い日は休むことも大切なケアのうちです。ご家族と一緒に、その方とご家庭にとって続けやすい形をさがしていきます。
拘縮を防ぐことは、介助の負担を減らすこと
拘縮は、ご本人のつらさだけの問題ではありません。手が握ったまま開かなくなると手のひらを清潔に保ちにくく、肘や膝が曲がって固まると服の袖や裾を通しにくくなります。股関節や膝がこわばれば、おむつ交換や入浴の介助も大変になります。
日々の介助のしやすさは、関節がどれだけ動くかに大きく左右されます。早い時期から動きを保つケアを続けることは、ご本人の快適さと、ご家族の介助のしやすさの両方を守ることにつながります。
焦らず、しかし止めずに
すでに進んだ拘縮を完全に元へ戻すのは難しいこともあります。それでも、これ以上進ませないこと、今ある動きを保つことには確かな意味があります。小さな積み重ねが、寝たきりの状態を遠ざける支えになっていきます。
大切なのは、焦らず、しかし止めずに続けることです。ご家族だけで抱え込まず、まずは相談から始めてください。今のお身体の状態を見せていただき、できることを正直にお伝えします。効果のあらわれ方には個人差がありますが、一緒に続けやすい形をさがしていきます。
よくある質問
もうかなり関節が硬くなっていますが、今からでも間に合いますか?
すでに進んだ拘縮を完全に元へ戻すのは難しいこともありますが、これ以上進ませないこと、今ある動きを保つことには意味があります。状態を見せていただき、できることを正直にお伝えします。
寝たきりの状態でも受けられますか?
受けられます。寝たまま・座ったままでできるケアから始め、こわばりをやわらげ、動く範囲を保つことを目指します。迷っている段階のご相談でも構いません。
固まった関節は元に戻りますか?
強い拘縮を完全に戻すのは難しいこともありますが、これ以上固くしない、今の動きを保つことを目標に、やさしく動かすケアを続けます。あらわれ方には個人差があります。
関節拘縮でも医療保険で受けられますか?
関節の拘縮や動かしにくさについて医師が治療の必要を認め、通院がむずかしい場合には、医療保険の対象になることがあります。まずはご相談ください。
拘縮予防で家族が気をつけることはありますか?
同じ姿勢が長く続かないよう、こまめに体の向きを変えることなどをお伝えします。介助の負担が少ない方法も一緒に考えます。無理のない範囲で構いません。
料金はいくらですか?出張費はかかりますか?
料金は1回3,950円で、1割負担の方はおよそ395円です。エリア内であれば別途の出張費・交通費はかかりません。負担割合によって自己負担額は変わります。
要介護認定を受けていませんが、利用できますか?
利用できます。この訪問鍼灸マッサージは医療保険で受けるため、要介護認定は必要ありません。ただし、医師の同意書が必要になります。
介護保険のサービスを使っていても受けられますか?
受けられます。医療保険で受けるため、介護保険の区分支給限度額とは別枠です。デイサービスや訪問介護などの枠を気にせずご利用いただけます。


