背中の丸まりと骨の変化について、ご家族と話しているところ

背中が丸くなってきた方の背景を調べていくと、骨がもろくなっていることに行き当たることがよくあります。骨粗鬆症と円背・亀背は、別々の話ではなくつながっています。しかもそのつながりは、痛みという形で知らせてくれないことがあります。気づかないうちに背骨が少しずつつぶれ、身長が縮み、背中が丸くなっていく。この流れと、どこで止められるのか、そして訪問での施術が受け持てる範囲を整理します。

この記事のポイント

骨がもろくなると、背骨の骨が上からの重みでつぶれ、前寄りにつぶれた分だけ上半身が前に傾きます。これが何か所か重なると、背中の曲がりは目に見えて進みます。痛みのないまま起こることもあり、身長が縮んだことで気づかれる場合もあります。骨の強さを保つ治療は医師が受け持つ部分で、鍼灸やマッサージが代わりを務めることはできません。訪問鍼灸が受け持つのは、傾いた体を支えて張りつめた腰・背中・首のこわばりと痛み、そして動かせる範囲を保つことです。自己負担は1回およそ395円が目安です。

骨がもろくなると、背骨は静かにつぶれます

背骨は、椎体という円柱形の骨が積み重なってできています。ひとつひとつが上半身の重みを受け止めています。骨の中身がすかすかになってくると、この椎体が重みに耐えきれず、押しつぶされることがあります。これが圧迫骨折です。

つぶれ方は均一ではありません。体の前側、つまりおなか側から先につぶれることが多く、そうなると椎体は横から見てくさび形になります。積み木のひとつが前だけ薄くなった状態です。その上に積まれている骨は、その分だけ前に傾きます。

ひとつなら大きな変化には見えません。けれども二つ、三つと重なれば、背中の丸まりははっきりしてきます。背骨が角ばって突き出た亀背と呼ばれる形になるのも、多くはこの積み重なりによるものです。

痛みがないまま起こることもあります

圧迫骨折というと、激しい痛みで動けなくなる場面を思い浮かべるかもしれません。実際にそうなることもあります。ただ、骨がもろくなって起こる圧迫骨折は、はっきりした痛みを出さずに済んでしまうことも珍しくありません。

重いものを持ったとき、くしゃみをしたとき、布団を上げ下ろししたとき。転んでいなくても、日常の動きの中で起こります。数日腰が重かったけれど治った、という程度で過ぎていくこともあります。

ですから、背中が丸くなってきたことに気づいたときには、すでに何回か起きているということがあります。ご本人に「骨を折ったことはない」と言われても、それは記憶にないだけということがあるわけです。

身長が縮んだ、というサイン

気づきやすい目印のひとつが、身長です。若いころより数センチ縮んだという話はよく聞きますが、それは背骨の椎間板が薄くなるだけでも起こります。一方で、四センチ以上縮んでいる、ここ数年で急に縮んだという場合は、椎体がつぶれていることを疑う手がかりになります。

ほかにも、壁に背をつけて立ったとき後頭部が壁につかない、あお向けで寝ると背中が浮いてつらい、着物や上着の丈が合わなくなった、といった変化があります。こうした気づきは、医師に伝える材料として役に立ちます。

骨の強さを保つことは、医師の受け持ちです

背中の曲がりをこれ以上進ませないために、一番効くのは骨をこれ以上つぶさないことです。そしてそれは、鍼灸やマッサージでできることではありません。

骨の状態は、骨密度の検査や背骨の画像で確かめられます。もろくなっていると分かれば、それに応じた治療が選ばれます。内容は状態によって違いますので、ここで具体的にお伝えすることは控えます。かかりつけの先生か整形外科にご相談ください。

当院にご相談いただいた方で、骨の状態を調べたことがないという場合は、まずそこを確かめていただくようお伝えしています。順番としてそれが早道だからです。次のようなときは、施術より先に受診してください。ここ数週間から数か月で急に背中が曲がってきた。背中や腰に強い痛みがあり、寝返りや起き上がりでひどくなる。脚に力が入らない、足裏の感覚がおかしい。圧迫骨折のあとの経過については「背骨の圧迫骨折のあとの痛みとケア|自宅で受ける訪問鍼灸マッサージ」で詳しくご紹介しています。

背中が丸まったあとに残るつらさ

骨のつぶれ自体が落ち着いても、体には変化が残ります。上半身が前に傾いた状態を一日中支えることになるからです。

腰の筋肉は、倒れきらないように引っぱられ続けます。首は前を見るために反り返ったままになります。胸の前側は縮み、肩甲骨のあいだは引き伸ばされて固まります。ここから、腰の痛み、背中の張り、首肩の重さが出てきます。骨折そのものは治ったのに背中や腰が痛い、というご相談の多くはこの形です。

それだけでなく、胸が狭くなって息が浅く感じられたり、あごが上がる姿勢で飲み込みにくくなったり、前が見づらくてつまずきやすくなったりします。骨の話で始まったことが、暮らしのあちこちに顔を出してきます。

鍼灸とマッサージが受け持てる範囲

鍼とお灸は、こわばった筋肉をゆるめ、その場の血のめぐりを促す方向に働きます。ここでいえば、引っぱられている腰と背中、縮んだ首の後ろ、固まった肩甲骨まわりです。骨の形は変わりませんが、同じ姿勢のままでも痛みの度合いは変わります。

あわせて、動かせる範囲を保つ練習も重ねます。肩をゆっくり回す、胸を開く方向に腕を上げる、座ったまま体を左右にひねる。どれも無理に反らせるものではありません。骨がもろくなっている背骨に後ろから力をかけることは避けます。

はり・きゅうの施術が医療保険の対象になるのは、慢性的な痛みやしびれ、麻痺にともなうこわばりについて、医師が治療の必要を認めて同意した場合です。骨がもろいという状態そのものではなく、それにともなって続く腰や背中の痛みが対象になります。同意書の取り方は「訪問鍼灸マッサージの同意書|かかりつけ医への頼み方と流れ」でご案内しています。

動かさない時間を、増やさないこと

痛みが出ると動かなくなり、動かないと骨と筋肉はさらに弱ります。骨は、体重をかけて使うことで強さを保つ性質があります。痛みを理由に横になる時間が増えると、その流れが逆向きに回りはじめます。

だからこそ、痛みを軽くしておくことに意味があります。痛くないから少し歩ける、歩けるから骨と筋肉が保たれる、という向きに戻すためです。施術はそのきっかけを作る役だと考えています。関節が固まっていく仕組みは「関節の拘縮・寝たきりを防ぎたい方へ|自宅で訪問鍼灸マッサージ」で詳しくご紹介しています。

家でできること

まず、転ばないことです。骨がもろくなっているときの転倒は、背骨だけでなく脚のつけ根の骨折にもつながります。床のものを片づける、段差に気をつける、スリッパを履かない、夜の廊下に明かりを置く。当たり前のことほど効きます。

座るときは、足の裏が床につく高さのいすに。背もたれとのあいだの隙間には、丸めたタオルや小さなクッションを入れます。机は少し高めにすると、あごが上がらずに済みます。あお向けで背中が浮いてつらいときは、膝の下に枕を入れてください。場面ごとのこつは「円背の方の座り方・寝かせ方|車いす・食事・ベッドでの支え方」で詳しくご紹介しています。

食事や日光の当たり方も骨に関わりますが、何をどれだけという話は体の状態や飲んでいる薬によって変わります。そこはかかりつけの先生にご相談ください。

費用は保険で、1回約395円から

医師の同意があって医療保険が使える場合、自己負担が1割の方で1回およそ395円が目安です。対応エリア内であれば、別途の出張費はいただきません。くわしい内訳は料金のページをご覧ください。

はじめての方には無料体験をご用意しています。背中や腰のどこが張っているのか、実際に見せていただいてからご説明します。

よくある質問

骨粗鬆症があると、鍼やマッサージは受けられませんか?
受けられます。ただ、背骨に後ろから強い力をかける方法は使いません。骨の状態をうかがったうえで、力の加え方と向きを選びます。医師から動かし方について指示が出ている場合は、その範囲でお受けします。

骨を強くする施術はありますか?
ありません。骨の強さを保つことは医師が受け持つ部分です。鍼灸やマッサージが受け持てるのは、そのまわりに残る痛みやこわばり、そして動かせる範囲です。

痛みがなかったので骨折していないと思うのですが。
骨がもろくなって起こる圧迫骨折は、はっきりした痛みを出さずに済むことがあります。背中が丸くなってきた、身長が縮んだといった変化があるときは、痛みの有無にかかわらず一度医師に相談していただくのが安心です。

身長が縮むのは年齢のせいだと思っていました。
椎間板が薄くなることでも身長は縮みますので、数センチであれば年齢による変化のこともあります。ただ、四センチ以上縮んでいる場合や、ここ数年で急に縮んだ場合は、背骨がつぶれていることを疑う手がかりになります。

背中が丸いのは保険の対象になりますか?
背中が丸いという状態そのものではなく、それにともなう腰や背中の慢性的な痛み・しびれなどについて医師が治療の必要を認めた場合に、はり・きゅうの施術が医療保険の対象になります。

対応しているのはどの地域ですか?
大阪府では豊中市・吹田市・茨木市・高槻市・箕面市・摂津市・池田市、大阪市では淀川区・東淀川区・都島区・北区・旭区、兵庫県では尼崎市・伊丹市にうかがえます。エリア内は別途の出張費がかからず、どこでも同じ料金です。