オーラルフレイルと訪問鍼灸マッサージ

オーラルフレイルは、噛む・飲み込む・話すといった口まわりの働きが少しずつ衰えていく、その手前の段階を指す言葉です。先に立場をはっきりさせておきます。評価とケアの中心は歯科・医師・言語聴覚士で、鍼灸が口の機能そのものに働きかけることはありません。当院が受け持てるのは、その周辺にある首や肩まわりのこわばりを和らげる補助の部分だけです。

先に要点だけ。食事のたびにむせる、飲み込むときにつかえる感じがある、食べたあとに声がガラガラする、食事にとても時間がかかる、体重が減ってきた。こうした変化があるときは、まず歯科・医師・言語聴覚士にご相談ください。誤嚥は肺炎の引き金になることがあります。口の中の痛みや腫れ、飲み込むときの強い痛みも、歯科・医師の診察が先です。鍼灸はこれらに代わるものではありません。

見過ごされやすい、口の小さなサイン

オーラルフレイルは、ある日突然おとずれるものではありません。日々のなかにぽつぽつと現れる小さな変化として始まります。

たとえば、かたいものが食べにくくなった、食事のときにむせることが増えた、滑舌が悪くなった気がする、口が渇きやすい、食べこぼしが増えた。どれも年齢のせいで片づけられがちなできごとですが、こうした兆しがオーラルフレイルのサインとされています。

見過ごしが怖いのは、口の働きの衰えが食べる量や栄養、人と話す機会にまで及び、そこから全身の元気の低下へとつながっていくことがあるからです。小さなうちに気づくことが、その先の暮らしを支えます。食が細くなってきた場合は低栄養・フレイルを防ぐもあわせてご覧ください。

まず誰に相談すればよいか

噛む力や飲み込む力、口の機能そのものの評価は、歯科医師・医師・言語聴覚士といった専門職の役割です。オーラルフレイルが気になったら、まずこうした専門職に相談し、いまの状態を確かめてもらうのが出発点になります。

とくに、食事のたびにむせる、飲み込むときにつかえる感じがある、食べたあとに声がガラガラする、食事にとても時間がかかるようになった、体重が減ってきた。このような変化があるときは、飲み込みの働きが落ちている可能性があります。誤嚥が肺炎の引き金になることもあるため、早めにご相談ください。むせについてはむせ・飲み込みの衰えと誤嚥性肺炎に詳しく書いています。

鍼灸が担うのは、首や肩まわりの補助だけです

オーラルフレイルへの中心的なケアは、歯科や言語聴覚士などが行う、口の働きを保つための取り組みです。当院が受け持つのは、その周辺にある首や肩まわりのこわばりを和らげる、補助的な部分に限られます。

首や肩、あごまわりがこわばっていると、姿勢や口の動かしやすさにも影を落とすことがあります。そのこりをゆるめ、血のめぐりを助けることは、体をらくに保つ一助になりえます。ただしこれは、口の機能そのものに働きかけるものではなく、あくまで周辺の負担を軽くする位置づけです。

感じ方には個人差があります。首や肩が軽くなった、体がらくになったと話される方もいらっしゃいます。口の働きの評価やケアは専門職にゆだね、鍼灸はそれを支える立場で関わります。首のケアについては嚥下・むせが気になる方へ|首のケアもご覧ください。

通うのではなく、来てもらう形が向く時期

口の衰えが気になりはじめる時期は、外出や通院がだんだん負担になってくる時期と、しばしば重なります。通うのがおっくうになると、体を動かす機会も人と話す機会も減り、心身の元気がさらに下がってしまう、ということが起こります。

訪問は施術者が自宅にうかがう形なので、移動の負担がそもそもありません。住み慣れた環境で、いつもの生活の延長で受けられることは、通院がむずかしくなってきた方にとって続けやすさに直結します。ふだんの生活の様子を見ながら関われるぶん、体のこわばりや姿勢についても具体的にお話ししやすくなります。

在宅のチームで支える

オーラルフレイルへの対応は、ひとつの専門職だけで完結するものではありません。歯科・医師・言語聴覚士・管理栄養士・訪問看護・ケアマネジャーといった多くの職種が、それぞれの立場から関わることで、口の働きと全身の元気を支えていきます。

訪問鍼灸マッサージも、その一員として首肩まわりのこわばりを和らげる部分を担います。役割をわきまえ、専門職の評価やケアを尊重しながら関わることを大切にしています。気になる変化に出会えば、施術者からも歯科や医師、言語聴覚士への相談をおすすめします。多くの目で見守ることが、口の衰えに早く気づく力になります。

家庭でできる、小さな習慣

口の働きを保つのに大きな設備はいりません。よく噛んで食べる、家族や周りの人と話す時間をもつ、口まわりをこまめに動かす。こうした日々の習慣が助けになります。ただし、専門職の指導のもと、無理のない範囲で続けることが前提です。

むせやすいときは、食事の姿勢や食べ物の形態に工夫が必要なことがあります。これらは自己流にせず、言語聴覚士・歯科・管理栄養士の助言にしたがってください。専門職の評価を土台にすることが、そのまま安全につながります。施術のときには、首肩の力を抜きやすい姿勢や、体をらくに保つ過ごし方についてもお話しします。

保険の条件と、費用のこと

はり・きゅうを医療保険で受けるには、医師が慢性的な痛みやしびれなどに対して施術を必要と認め、同意書を出すことが必要です。ここで大切なのは、オーラルフレイルそのものが保険の対象になるわけではない、という点です。ともなって続く首肩の慢性的な痛みなどについて医師が必要と認めた場合に、対象になりえます。

1回の施術は総額3,950円で、自己負担は1割の方で約395円、2割の方で約790円です。週2回なら1割負担でひと月およそ3,160円が目安になります。これは公的な医療保険にもとづく料金です。介護保険の支給限度額とは別の枠で扱われるため、介護保険のサービスとあわせても限度額を気にせず併用していただけます。手技や身体を動かす運動は鍼灸に加えるケアとして行います。これらについて別途の料金はいただきません。同意書のやりとりは当院がお手伝いします。

うかがえるのは、大阪府の豊中市・吹田市・茨木市・高槻市・箕面市・摂津市・池田市、兵庫県の尼崎市・伊丹市、大阪市の淀川区・東淀川区・都島区・北区・旭区です。東京・神奈川は玉川院から世田谷区、川崎市の宮前区・高津区、横浜市の都筑区・青葉区にうかがっています。エリア内であれば別途の出張費・交通費はかからず、料金はどこでも一律です。うかがうのは平日の9時から18時までで、土曜・日曜・祝日はお休みをいただいています。

よくある質問

オーラルフレイルは鍼灸で改善しますか。
口の働きそのものへの評価やケアは、歯科・医師・言語聴覚士といった専門職の役割です。鍼灸は口の機能に直接働きかけるものではなく、当院では首や肩まわりのこわばりを和らげる補助に限って関わります。まず専門職に相談し、そのうえで体をらくに保つ補助として取り入れるものとお考えください。

むせることが増えたのですが、まず何をすればよいですか。
飲み込みの働きが落ちている可能性があるため、まず歯科・医師・言語聴覚士に飲み込みの状態を評価してもらってください。誤嚥は肺炎の原因になることもあるので、早めの相談が大切です。訪問鍼灸マッサージは、そうした専門的なケアを前提に、首肩のこわばりを和らげる補助として在宅で取り入れられます。

オーラルフレイルでも保険で受けられますか。
オーラルフレイルそのものは対象になりません。ともなって続く首肩の慢性的な痛みなどについて医師が必要と認め、通院がむずかしい状態であれば、はり・きゅうの医療保険の対象になる場合があります。

口の衰えに、家でできることはありますか。
よく噛んで食べる、人と話す時間をもつ、口まわりを動かすといった習慣が助けになります。ただし、むせやすい方の食事の姿勢や形態は自己流にせず、言語聴覚士・歯科・管理栄養士の助言にしたがってください。

歯科にも通っています。重ねて受けられますか。
受けられます。歯科の治療と鍼灸は別のものなので、重ねて差し支えありません。むしろ、口のことは歯科に、首肩のこわばりは当院に、と役割を分けていただくほうが安全です。

1回いくらかかりますか。
自宅での1回の施術は総額3,950円で、1割負担の方はおよそ395円が目安です。週1回ならひと月の自己負担はおよそ1,580円ほど。手技や身体を動かす運動は鍼灸に加えるケアとして行い、別途の料金はいただきません。