
坐骨神経痛で足がしびれる、肋間神経痛で胸やわき腹が痛む、帯状疱疹が治ったあとも痛みが残っている。長引く神経の痛みで通院がつらくなってきた方から、「これは保険で受けられるのか」というお問い合わせをよくいただきます。結論から言えば、神経痛ははり・きゅうの医療保険が使える代表的な症状の一つです。ただし順番があり、まずは医療機関での受診と診断が先になります。ここでは、対象になる目安と料金の見当を整理してお伝えします。
この記事のポイント
神経痛は、医師が慢性の痛みと認め、はり・きゅうでの施術に同意書を書いた場合、訪問鍼灸マッサージを医療保険で受けられます。坐骨神経痛・肋間神経痛・三叉神経痛・帯状疱疹後の痛み・手足のしびれなどが代表例です。自己負担は1回あたり総額3,950円のうち負担割合の分だけで、1割の方でおよそ395円。別途の出張費はかからず、エリア内はどこでも同額です。ただし急に強まる痛みやしびれは、施術より先に医療機関を受診してください。
「神経痛」はひとつの病名ではない
神経痛という言葉は、特定の病名を指しているわけではありません。神経が通っている道すじに沿って走る痛みの、いわば総称です。坐骨神経痛のように腰から脚へ流れる痛みもあれば、肋間神経痛のように肋骨に沿ってズキッとくるものもあります。共通しているのは、押して痛い場所と、痛みの出る場所がずれることがある、という感覚のわかりにくさ。だから「これは何の痛みなのか」を自分で判断しづらく、長く付き合ってしまいがちです。まずはこの枠の広さを知っておくと、保険の話も理解しやすくなります。
保険で認められる6疾病、その筆頭にある
はり・きゅうには、医療保険(療養費)の対象として国が示している代表的な疾病があります。神経痛・リウマチ・頸肩腕症候群・五十肩・腰痛症・頸椎捻挫後遺症の6つです。神経痛は、このリストの先頭に置かれています。慢性的に続く痛みで、医師が「鍼やお灸による治療が必要だ」と認めたものが対象になる、という考え方です。ここで大切なのは、神経痛が単独で入っているという点。つまり「神経の痛みに対する施術」は、制度がもともと想定している使い方なのです。
坐骨、肋間、三叉、後頭。名のつく痛みの広がり
「神経痛」と名のつく症状は、思っている以上に幅があります。腰から脚にかけての坐骨神経痛・長引く腰の痛みはよく知られていますが、それだけではありません。肋骨まわりの肋間神経痛、後頭部が締めつけられるような後頭神経痛、そして顔面に鋭く走る三叉神経痛・顔の痛みがつらいときなど、体のあちこちに現れます。帯状疱疹が治ったあとに残る痛みも、この仲間に含まれることがあります。
ただし、坐骨神経痛や三叉神経痛という診断名がついていれば自動的に保険の対象になる、というわけではありません。正確に言うと、医師がその症状を神経痛として捉え、鍼灸での治療の必要を認めたときに対象になります。逆に言えば、個々の呼び名にとらわれず、慢性の神経の痛みで困っているなら一度相談してみる価値がある、ということです。
同意書は、かかりつけ医に頼めばいい
保険で受けるうえで、多くの方がつまずくのが「同意書なんて本当に書いてもらえるのか」という不安です。結論から言えば、特別な手続きではありません。ふだん通っている内科や整形外科の医師に、訪問で鍼灸を受けたい旨と症状を伝えれば、判断のうえで同意書を書いてもらえます。専門のクリニックを新しく探す必要はありません。何を伝えればいいか迷うようなら、私たちが書式や記入のポイントをお渡しし、受診の際に持っていっていただく形にしています。ここで手を止めてしまう人が多いので、遠慮なく声をかけてください。
同意書から支払いまで、お金の流れ
流れそのものはシンプルです。医師の同意書が用意できると療養費の対象になり、施術のたびに支払うのは自己負担の割合分だけになります。当院の施術は1回の総額が3,950円です。1割負担の方なら約395円、2割負担で約790円、3割負担で約1,185円が目安になります。訪問にかかる出張費を別に請求することはありません。
たとえば週2回のペースで受けた場合、1割負担なら1か月でおよそ3,160円。痛みと長く付き合っている方にとって、続けやすさは大事な条件だと思います。金額の内訳や、腰の痛みそのものが対象になるかどうかについては「長引く腰痛症は保険の対象?」でも触れていますので、あわせて読んでみてください。
鍼とお灸が神経の痛みにできること
はっきりお伝えしておきたいことがあります。鍼灸は、傷んだ神経そのものを元どおりに治すものではありません。病気を治す治療とは性質が違います。できるのは、痛みをかばって固まった筋肉のこわばりをゆるめ、その周辺の血のめぐりを促していくこと。神経が過敏になっている状態を、少し落ち着かせる方向に働きかけていくものです。
効き方には個人差があります。数回で楽になったと感じる方もいれば、ゆっくり変化していく方もいて、そこは正直なところ受けてみないとわかりません。だからこそ、断定的に「治ります」とは言わないようにしています。痛みをおして無理に動くのではなく、体をなだめながら日常を送る、その助けになれば、というのが施術の立ち位置です。
介護保険を使っていても、別枠で受けられる
介護サービスを利用中の方から、限度額を圧迫しないか心配される声をよくいただきます。この鍼灸の療養費は医療保険の枠組みで、介護保険の支給限度額とは別の財布から出るものです。だからデイサービスやヘルパーの利用と併用しても、そちらの枠を削ることはありません。要介護認定を受けていなくても利用できます。
あわせて知っておいていただきたいのが、同じ部位について医療保険のリハビリを受けている場合、その部位への鍼灸は同時には保険算定できないという点です。重なるときは、どちらを使うか事前に整理しておくと安心です。なお、施術のなかで手足を動かす機能訓練を行いますが、これは鍼灸に加えて行うもので、別の給付として追加でいただくものではありません。
よくある質問
坐骨神経痛は鍼灸の保険で受けられますか?
坐骨神経痛は、はり・きゅうの保険が使える代表的な神経痛の一つです。まず医療機関で診断を受け、医師が慢性の神経痛として施術を必要と認めて同意書を書き、通院がむずかしければ、訪問鍼灸マッサージを医療保険で受けられます。自己負担は1割の方で1回およそ395円が目安です。
神経痛の訪問マッサージ・鍼灸の料金はいくらですか?
1回の総額は3,950円で、お支払いは負担割合の分だけです。1割の方でおよそ395円、2割で約790円が目安。別途の出張費はかからず、エリア内は同額です。週1回なら1割の方でひと月およそ1,580円。お支払いは月ごとにまとめていただき、その月の内容がわかる明細をお渡しします。
帯状疱疹が治ったあとに残る痛みも鍼灸で相談できますか?
帯状疱疹のあとに続く痛みも、慢性的に残り、医師が施術の必要を認めれば保険の対象になり得ます。皮膚の症状が引いても痛みが長引くことがあるため、まずは医療機関で診てもらい、今の状態をお聞かせいただければ、対象になりそうかの見当をお伝えします。個人差があります。
肋間神経痛でも訪問で受けられますか?
胸やわき腹に沿って痛む肋間神経痛も、慢性的に続く痛みで医師が必要と認めれば対象になり得ます。ただし胸の痛みは心臓など別の原因のこともあるため、まず医療機関の受診が先です。診断がついて落ち着いた慢性の痛みであれば、ご自宅での施術を検討いただけます。
しびれだけでも保険の対象になりますか?
慢性的なしびれや痛みで、医師が施術の必要を認めれば対象になり得ます。ただし、急に強くなるしびれや、力が入りにくい感じ、しびれの範囲が急に広がるといったときは、施術より先にまず医療機関を受診してください。診断を受けたうえでのご相談が安心です。
神経痛が保険適用になるには何が必要ですか?
かかりつけ医の同意書が必要です。医師が診察のうえで、はりやきゅうでの施術を慢性の神経痛に必要と認めて書くもので、これがないと保険での施術は始められません。医師への依頼の段取りや書類のやりとりは、のびのびで間に入ってお手伝いをします。
鍼灸で神経痛は治りますか?
鍼やお灸は、まわりの筋肉のこわばりをゆるめ、血のめぐりを促して、痛みやしびれにともなうつらさを楽にすることが期待できます。ただし傷んだ神経そのものを元どおりにするものではなく、あらわれ方には個人差があります。主治医の診療を続けながら、体を支える位置づけとお考えください。
介護保険を使っていても神経痛の訪問鍼灸は受けられますか?
受けられます。訪問鍼灸マッサージは医療保険を使うため、介護保険の区分支給限度額とは別枠です。デイサービスやヘルパーを利用していても、その枠を圧迫せずに併用できます。要介護認定がない方でも、医師の同意書があれば利用できます。