
「要支援になったら、これまでのデイが週2回から週1回に減った」「総合事業に移ってから、体を動かしてもらう時間がめっきり少なくなった」。そんな戸惑いのご相談をよくいただきます。じつは、介護保険で受けているサービスとはまったく別の“もう一つのお財布”で足せるケアがあります。医療保険で受ける訪問鍼灸マッサージです。今のプランを削らずに、減った分を静かに補える手立てを、具体的な場面とあわせてお伝えします。
結論を先に。要支援や総合事業でサービスが減っても、医療保険の訪問鍼灸マッサージは介護保険の枠とは“別のお財布”で足せます。医師の同意があれば要介護認定がなくても受けられ、1回で総額3,950円・1割ならおよそ395円。減った分を、別の会計で静かに埋めるイメージです。
「サービスが減った」——要支援・総合事業でつまずきやすいところ
大阪市旭区の八十代のお父様を介護している娘さんから、こんなお話がありました。「要支援2に上がったと思ったら、週2回だった通所が週1回に。担当のケアマネジャーさんに増やせないか聞いても、総合事業の範囲ではむずかしいと言われて」。減ったのはサービスの回数だけではなく、専門家に体を診てもらえる時間そのものだった、というわけです。
要支援の方や、市区町村の総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)を利用している方は、受けられるサービスの種類や回数が、要介護の方にくらべて絞られることが多くあります。決められた予算の中でやりくりするしくみのため、「元気なうちは控えめに」という運用になりやすいのです。
総合事業は市区町村ごとに中身が違い、地域によって使えるサービスの幅にも差があります。「引っ越す前の町では受けられたのに、こちらでは対象外と言われた」と戸惑うご家族もいます。制度が変わっても体のケアを絶やさないために、介護保険の外にある選択肢を一つ知っておくと、いざというとき慌てずにすみます。
減った分、体はどこから崩れやすい?
先ほどの娘さんが気づいたのは、玄関で靴下を履くときのふらつきでした。「以前は片手をつくくらいだったのに、この頃は壁に寄りかからないと危なっかしい」。通所が半分に減って一か月ほど、ちょうどそんな時期だったそうです。
専門家に体を動かしてもらう時間が減ると、関節が固くなりやすく、立ち座りや歩く力もじわじわ落ちやすくなります。とくにご高齢の方は変化がゆっくり進むぶん、気づいたときには外出がおっくうになっていた、ということも起こりがちです。痛みやこわばりが出て動くのがつらくなり、動かないからまた固くなる——この行き来に入り込まないうちに手を打てると、大きく崩れる前に対応しやすくなります。
立ち上がるときに手をつくようになった、同じ道を歩くのに前より疲れる、椅子から腰を上げる動作にひと呼吸かかるようになった。こうした小さな変化は、体からの早めのサインであることがあります。「まだ大丈夫」と見送るのではなく、気づいた時点でこまめに体をほぐし、動かす習慣を保っておくことが助けになります。
介護保険の“枠”と医療保険は、別のお財布
ここがこの記事でいちばんお伝えしたいところです。要支援の方の介護保険には、ひと月に使える金額の上限——区分支給限度基準額があり、要支援はこの枠がもともと小さめです。デイや訪問介護を組み合わせると、あっという間に上限が近づき、「これ以上は足せない」となりがちです。
訪問鍼灸マッサージは、この介護保険の枠を使いません。医師の同意にもとづいて医療保険で受けるサービスなので、区分支給限度基準額とは別の会計、いわば“別のお財布”から支払うかたちになります。だから、今使っているデイや訪問介護を削らなくても、体のケアを一つ上乗せできる。「枠がいっぱいで足せない」という要支援・総合事業ならではの行き詰まりを、横からすり抜けられるのがこの制度の強みです。
施術の中身は、はり・きゅうに、こわばりをゆるめる手技や、関節の動く範囲を保つ機能訓練を、追加料金なしで組み合わせます。1回はおおむね20〜30分。その方お一人のために時間を使うマンツーマンなので、施設のように何人もを同時に、ということはありません。その日の体調に合わせて、必要なところをていねいにケアできるのは、訪問ならではです。
| 項目 | 介護保険(要支援・総合事業) | 医療保険の訪問鍼灸マッサージ |
|---|---|---|
| 使う枠(お財布) | 区分支給限度基準額の内側 | 別枠(限度額の外) |
| 要介護認定 | 必要(要支援を含む) | 不要(医師の同意書で可) |
| 今のプランへの影響 | 枠を共有して圧迫しやすい | 削らず上乗せできる |
| 費用の目安 | サービスにより変動 | 1回 総額3,950円/1割 約395円 |
| 主な役割 | 生活の支援・介護予防 | 痛み・こわばりのケアと機能維持 |
要介護認定がなくても、医師の同意で始められる
「うちはまだ要支援だから、医療のサービスなんて無理でしょう」。そう思い込んでいたと、先ほどの娘さんもおっしゃっていました。ところが訪問鍼灸マッサージは介護保険の枠組みではないため、要介護認定の段階に関係なく検討できます。医師が慢性的な痛みやこわばりなどで施術の必要を認め、同意書があれば、要支援の方も、そもそも認定を受けていない方も対象になります。
「介護保険の申請はこれからだけれど、体のケアは早めに始めたい」というときにも向いています。認定の結果を待つあいだにも体は少しずつ変わっていくので、待たずに始められる選択肢があるのは心強いものです。同意書の準備は、のびのびの側で手順をご案内し、かかりつけの先生とのやりとりをお手伝いします。ご家族が一から書類をそろえる、という負担はかかりません。
まずはかかりつけ医に「訪問で鍼灸やマッサージを受けたい」とご相談いただくところから。どんな症状が対象になりそうか、同意はどう得ればよいか、迷われる点があれば、はじめのご相談で率直にお伝えします。
費用はいくら?月ごとの明細で見通しが立つ
料金は、はり・きゅうのいずれか1回で総額3,950円、1割負担ならおよそ395円が目安です。2術(はりとお灸の両方)でも総額4,120円、1割なら412円ほど。訪問にかかる費用はこの料金(訪問施術料)に含まれており、別途の出張費をいただくことはありません。自己負担は1割または2割の方が多く、ひと月ぶんをまとめても続けやすい金額におさまります。
医療保険を使うため、介護保険の区分支給限度基準額には影響しません。デイの費用とぶつかって「今月はもう足せない」と悩む、ということが起きにくいのです。明細は月ごとにお渡しするので、「今月はこれだけかかった」と家計の中で見通しを立てやすく、続けやすさにもつながります。金額がはっきりしていると、ご家族のあいだでも相談しやすくなります。
ケアマネジャーさんへ——プランに“足す”一手として
担当されている要支援の方について、「もう少し体を動かす機会を確保したいが、枠に余裕がない」と感じる場面があるかもしれません。医療保険の訪問鍼灸マッサージは、その枠の外で組み合わせられるため、既存のケアプランを削ることなく、機能維持のための時間を一つ足す選択肢になります。
ご本人・ご家族と医師のあいだの同意書の段取りや、施術の頻度・内容のご相談は、のびのびが窓口となって進めます。プラン全体の中でどう位置づけるか、無理のない回数はどのくらいか、といった点も、遠慮なくお問い合わせください。連携のしかたも含めてご説明します。
そもそも訪問鍼灸マッサージって?対象になる症状
訪問鍼灸マッサージは、はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師といった国家資格を持つ施術者が、ご自宅や施設にうかがって行う施術です。通院がむずかしい方が、住み慣れた場所で体のケアを受けられます。
医師の同意にもとづき医療保険を使うため、慢性的な痛み・しびれ・麻痺・こわばりのある方が主な対象です。坐骨神経痛やリウマチ、五十肩、腰痛、脳梗塞の後遺症、パーキンソン病など、幅広い症状が対象になることがあります。こわばりの緩和や動きやすさを保つことが期待できますが、感じ方には個人差があり、無理のない範囲で続けていきます。
制度の枠組みは、正直なところ分かりにくいものです。「要支援だから」「認定がないから」と受けられないと思い込んで、体のケアの機会を逃してしまうのは、もったいないこと。のびのびは大阪市・北摂・阪神間にうかがっています。サービスが減って不安なとき、要支援だけれど体の衰えが気になり始めたとき、今の様子をお聞かせください。対象になりそうかを含めて、その方に合った始め方を一緒に考えます。
よくある質問
要支援でも受けられますか?
はい。訪問鍼灸マッサージは医療保険で受けるサービスなので、要支援の方も、医師の同意があれば受けられます。介護保険の区分支給限度基準額とは別枠のため、要支援の小さめの枠を気にせず組み合わせられます。
今使っているデイや訪問介護は減らさないといけませんか?
いいえ。医療保険の“別のお財布”から支払うかたちなので、今の介護保険サービスを削ることなく上乗せできます。枠がいっぱいで足せない、というときにも検討しやすい選択肢です。
総合事業に移ってサービスが減りました。それでも足せますか?
はい。総合事業のサービス量とは別の制度なので、そちらの回数に関係なく足せます。市区町村ごとに総合事業の中身は異なりますが、医療保険の訪問鍼灸マッサージはその枠外でご利用いただけることが多いです。
要介護認定を受けていませんが大丈夫ですか?
大丈夫です。認定の有無にかかわらず、医師が施術の必要を認め、同意書があれば対象になります。同意書の段取りはのびのびがお手伝いします。
費用はどのくらいですか?
1回で総額3,950円、1割負担ならおよそ395円が目安です。訪問にかかる費用は料金に含まれ、別途の出張費はいただきません。明細は月ごとにお渡しします。
どんな効果が期待できますか?
こわばりがやわらいだり、動きやすさを保ちやすくなることが期待できますが、感じ方には個人差があります。断定はできませんので、その日の体調に合わせて無理のない範囲で続けます。

