訪問先でケアマネジャーと打ち合わせをしている場面

訪問鍼灸マッサージの現場で働いていると、ケアマネジャーと話す機会が毎月あります。同意書の相談、サービス担当者会議、担当が変わるときの引き継ぎ。そうしたやり取りを重ねるうちに、自分もケアマネジャーの資格を取れるのだろうかと考える方がおられます。答えは取れます。はり師・きゅう師、そしてあん摩マッサージ指圧師は、受験資格の対象になる国家資格に含まれています。何が必要で、どう数えるのかを整理します。

ケアマネジャーという資格の位置づけ

ケアマネジャーは、正式には介護支援専門員といいます。国家資格ではなく、都道府県が実施する介護支援専門員実務研修受講試験に合格し、そのあとの実務研修を修了して登録される公的な資格です。ケアプランを作り、サービス事業者と利用者をつなぐ役を担います。

訪問鍼灸マッサージの側から見ると、施術の依頼が入ってくる入口でもあり、体の状態を伝える相手でもあります。日常的にやり取りしている職種なので、その仕事の中身をすでにある程度ご存じの方も多いはずです。

はり師・きゅう師は、受験資格の対象に入っています

受験するには、定められた国家資格にもとづく業務に一定期間従事していることが条件になります。その対象資格の一覧に、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師が含まれています。医師、看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、柔道整復師などと並んで挙げられているものです。

つまり、鍼灸の仕事を続けていることが、そのまま受験資格につながります。介護の職場に移ったり、別の資格を取り直したりする必要はありません。

必要な実務経験は、通算5年以上かつ900日以上

期間の条件は二つあります。資格にもとづく業務に従事した期間が通算で5年以上あること。そして、その業務に従事した日数が900日以上あること。この両方を満たす必要があります。

年数だけでは足りないところが見落とされがちです。週に一日だけの勤務を5年続けても、日数が900日には届きません。逆に、いくつかの職場を移っていても、期間と日数は通算して数えられます。

数え方の細かいところ、たとえばどの業務が該当するか、証明書をどう書いてもらうかは、試験を実施する都道府県によって運用が違います。受験を考えるときは、お住まいの都道府県の案内を必ず確かめてください。大阪府であれば、府の介護支援専門員実務研修受講試験の実施要領に条件と書類の様式が載っています。ここに書いたことは目安として読んでいただき、最終的な判断はそちらでお願いします。

訪問の仕事を続けながら、日数を積むということ

900日という数字は、週5日で働けば4年ほど、週4日なら5年ほどで届く水準です。訪問鍼灸マッサージは常勤でも非常勤でも働ける仕事なので、日数を積みながら準備を進めることができます。

そして、訪問という働き方はこの資格の勉強と相性がよいところがあります。介護保険のサービスがどう組まれているか、要介護度によって何が変わるか、担当者会議で何が話されるか。教科書で読む前に現場で見ているからです。

試験の範囲には介護支援分野と保健医療福祉サービス分野があり、後者には医療の知識も含まれます。国家資格を持って体を見てきた方には、取りかかりやすい部分です。

試験から登録までの流れ

順番としては、まず受験の申し込みです。実務経験を証明する書類をそろえて、都道府県に提出します。申込の期間は春から初夏にかけてで、書類の準備に時間がかかるため、早めに動かれるほうが安心です。

試験は年に一度、秋に行われます。介護支援分野と保健医療福祉サービス分野から出題される選択式の試験で、それぞれに合格の基準が設けられています。片方だけ高くても通りません。合格率は年によって差がありますので、最新の数値は都道府県や試験の実施機関の発表をご確認ください。

合格したあとは、介護支援専門員実務研修を受けます。講義と演習に加えて、実際の事業所での実習が含まれます。ここまで修了して登録が済み、証の交付を受けて、ようやくケアマネジャーとして働けるようになります。試験に通った翌年度に働き始めるという形になることが多いところです。

資格には更新があり、決められた期間ごとに研修を受けることが必要です。取ったら終わりという資格ではありません。

資格を取ったあと、どういう道があるか

ケアマネジャーとして居宅介護支援事業所で働く道もありますし、施術者として続けながら知識だけを持っておくという選び方もあります。どちらが正しいというものではありません。

施術を続ける立場で言えば、ケアプランの組み立てを知っていることは、日々の連携で効いてきます。何を伝えれば動きやすいのか、いつ相談すれば間に合うのか。それが分かっている施術者は、ケアマネジャーの側から見ても頼みやすい相手になります。訪問鍼灸マッサージのやりがいは?院との違いと続く理由でも、連携についてご紹介しています。

一方で、ケアマネジャーとして働くとなると、施術の時間は減ります。両立するのか、切り替えるのか。そこは早めに考えておかれるといいと思います。

のびのびで働きながら目指す場合

資格を取ることを止める理由はありませんので、勤務の形はご相談ください。試験は毎年秋に行われるので、その時期に休みを取りやすいように組むこともできます。実務経験の証明書についても、必要があれば院として作成します。

訪問の現場で見てきたことが資格の勉強につながり、資格の知識が現場に戻ってくる。そういう回り方ができる仕事だと思います。まずは一度、お気軽にご相談ください。

訪問の現場で働くことそのものについては、鍼灸師の1日の流れと鍼灸師に年齢制限はある?40代・50代から訪問で働くもあわせてご覧ください。募集要項は「採用情報」のページをご覧ください。

よくある質問

Qはり師・きゅう師でケアマネジャー試験を受けられますか。

A受けられます。あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師は、介護支援専門員実務研修受講試験の受験資格の対象となる国家資格に含まれています。

Q必要な実務経験はどれくらいですか。

A資格にもとづく業務に従事した期間が通算5年以上で、かつ従事した日数が900日以上です。両方を満たす必要があります。数え方は都道府県によって運用が違いますので、お住まいの都道府県の案内をお確かめください。

Qパートや非常勤の期間も数えられますか。

A期間として通算されますが、日数の要件があるため、勤務日数が少ないと900日に届くまで時間がかかります。いくつかの職場を移っていても通算できます。

Q訪問鍼灸の仕事は、実務経験として認められますか。

Aはり師・きゅう師の資格にもとづいて施術を行っている期間は、原則として対象になります。ただし証明の仕方や該当する業務の範囲は都道府県が判断しますので、実施要領を確かめたうえで申請してください。

Q実務経験の証明書は院で書いてもらえますか。

A作成します。必要な様式をお持ちいただければ、在籍期間と従事日数を記載してお渡しします。

Q資格を取ったら施術の仕事は辞めることになりますか。

Aどちらでも選べます。ケアマネジャーとして働く道もありますし、施術を続けながら知識として持っておく方もおられます。勤務の形については入職後もご相談いただけます。