目が見えにくいご家族への訪問鍼灸マッサージ|声のかけ方と置き場所を整えて、体のこわばりを手当てする

目が見えにくくなると、歩くときの構え方が変わり、首から肩にかけて力が入りっぱなしになりがちです。ここでは、見えにくいご家族に訪問の施術を受けていただくときの、声のかけ方と部屋の整え方をお伝えします。

この記事のポイント

視覚障害そのものは、はり・きゅうの療養費の対象ではありません。腰痛症や五十肩、頸肩腕症候群、神経痛などの病名について医師の同意があれば、保険で施術を受けられます。費用は1回3,950円で、1割負担の方は約395円、2割負担の方は790円。見えにくい方への訪問では、名乗ってから近づく、触れる前に伝える、物の置き場所を動かさない、この3つを守ります。

目が見えにくいと、保険では受けられないのですか

目が見えにくいこと自体は、はり・きゅうの療養費の対象になりません。保険で受けられるのは、腰痛症、五十肩、頸肩腕症候群、神経痛、関節リウマチ、頸椎捻挫後遺症といった病名について、かかりつけの医師が施術を必要と認めた場合です。目の治療そのものは眼科で受けていただくものです。

ただ、見えにくさを抱えた方が、肩や腰の痛みを同時に抱えていることはよくあります。その痛みについて同意が得られれば、保険で施術を受けられます。目のことは眼科、体の痛みは訪問での鍼灸、と役割を分けて考えていただくと分かりやすいと思います。

最初の訪問でうかがうこと

初回は施術より先に、どんな見え方をしているかをうかがいます。光が分かるのか、真ん中がぼやけて人の顔が見分けにくいのか、周りが欠けて足元の物にぶつかるのか、全体に白くかすむのか。ひとくちに見えにくいといっても中身は違い、必要な手助けも変わります。

たとえば真ん中が見えにくい方は、正面の物を見落とす一方で、横目のほうがよく見えることがあります。周りが欠ける方は、正面の物は分かっても足元や横から来る物に気づきにくくなります。どちらなのかが分かると、こちらの立ち位置や、物を置く場所を合わせられます。

声のかけ方と、触れる前のひと言

玄関を上がったら、院名と担当者の名前を毎回名乗ります。声だけで人を判別する負担を減らすためです。近づくときは足音を立てて気配を残し、背後からいきなり肩に手を置くようなことはしません。驚いて体がこわばると、その日の施術がやりにくくなります。

触れるときは先に言葉にします。「右の肩に手を当てますね」「これから足首を回します」。逆に、その場を離れるときも黙って動きません。誰もいない部屋に向かって話しかけていた、という思いをさせないためです。短い予告の積み重ねが、安心して体をあずけていただくことにつながります。

場所は言葉で伝え、置き場所は動かさない

「そこ」「あちら」といった指し示す言葉は、見えている人どうしでしか通じません。体のことなら「右の膝のお皿の少し上」、部屋のことなら「足元から見て10時の方向、手を伸ばした先」と、体の部位や時計の文字盤にたとえて伝えます。ご家族にもこの言い方を共有しておくと、日々のやり取りが楽になります。

施術のためにどけた物は、終わったら元の場所へ戻します。白杖、スリッパ、リモコン、水の入ったコップ。見えにくい方は物の位置を記憶で覚えているので、少しずらしただけでも探し物になり、無理な体勢や転倒のもとになります。よかれと思って片づけない、というのが訪問での約束ごとです。

見えにくさが体にかける負担と、家でできること

足元を確かめながら歩くと、自然に前かがみになり、顔が下を向きます。音や気配を頼りにするぶん、首から肩にかけて力が入りっぱなしになりがちです。歩幅は狭くなり、一日の動く量も減ります。こうした積み重ねが、首肩のはり、腰の重さ、脚のこわばりとして出てくることはめずらしくありません。

施術では、緊張の続いている首肩と背中、それから使う機会の減った脚に手を入れていきます。あわせて、ご本人が家の中で続けられる動きをお伝えします。椅子に座ったままの足踏み、手すりや机に触れながらの立ち座り。決まった場所で、決まった手順で行えば、見えなくても安全に続けやすくなります。

鍼とお灸を使うときの安全

お灸を使う日は、火を扱うことを毎回はっきり伝えます。どこに何個置くのか、いつ取るのかも言葉にします。見えない状態で急に熱を感じると、驚いて体をひねってしまうことがあるためです。置いているあいだは動かずにいていただくようお願いし、熱さを感じた時点ですぐ知らせてもらいます。

鍼も同じで、刺す場所と本数を先に伝えます。うつ伏せやタオルで覆った姿勢は、見えにくい方にとって外の様子がまったく分からない時間になります。やめてほしいときは手を挙げる、といった合図を先に決めておき、こちらからも一定の間隔で声をかけて、いま何をしているかを伝え続けます。

糖尿病で目に変化のある方は、足も一緒に確かめる

糖尿病から目に変化が出ている方は、足の感覚も鈍くなっていることがあります。この組み合わせは厄介で、靴ずれや小さな傷ができても痛みで気づけず、自分の目で見て確かめることもできません。気づいたときには深くなっていた、という経過をたどりやすくなります。

そこで施術のたびに、足の裏、指のあいだ、かかとの皮膚を見せていただきます。赤み、皮のむけ、じくじくした部分、爪の周りの腫れ。気になる変化はその日のうちにご家族へお伝えします。処置そのものは医療機関の役目ですので、早く受診につなげることを目標にします。

早めに眼科や病院にかかっていただきたいとき

急に見えなくなった、視野の一部が黒く欠けた、カーテンが下りてきたように見える。こうした変化は、その日のうちに眼科にかかってください。目の強い痛みに頭痛や吐き気、充血をともなうときも同じです。虫のような影が急に増えた、光がちらちら走る、という訴えも早めの受診が要ります。

片方の目の見え方が急に変わり、あわせてろれつが回らない、片側の手足に力が入らない、といった症状が出た場合は、脳の血管の病気が疑われます。迷わず救急に連絡してください。こうしたときは施術を先に延ばし、まず医療機関にかかっていただくことをお願いしています。

費用のこと

1回の施術は総額で3,950円です。ご負担は割合によって決まり、1割の方でおよそ395円、2割の方で790円になります。表示している金額のほかに出張料などを別にいただくことはなく、お住まいの場所によって金額が変わることもありません。お支払いは月ごとにまとめていただき、施術の内容が分かる明細をお渡しします。

どこまで来てもらえるのか、というお尋ねもよくいただきます。豊中市・吹田市・茨木市・高槻市・箕面市・摂津市・池田市、それに尼崎市と伊丹市、大阪市では淀川区・東淀川区・都島区・北区・旭区。この14の市と区にうかがっています。なお、この施術は医療保険で行うため、介護保険の限度額とは別の枠になります。

申し込みから施術が始まるまで

保険で受けるには、かかりつけの医師に同意書を書いていただく必要があります。この段取りは当院で進めますから、ご家族が何度も病院へ足を運ぶことにはなりません。はじめのご連絡のときには、今の見え方と、体のどこがつらいのかをあわせてうかがっておきます。ケアマネジャーや訪問看護が入っていれば、決めた伝え方をそちらにも伝えます。

同意が得られたら、曜日と時間を決めてうかがいます。訪問の時間帯をそろえておくと、ご本人が音や気配で「来た」と分かりやすく、身構えずに済みます。声のかけ方や物の置き場所の決めごとは、続けるなかで見直し、そのときに合う形へ整えていきます。

よくある質問

目が見えにくくても施術を受けられますか?
受けられます。視覚障害そのものは保険の対象になりませんが、肩や腰の痛みについて医師の同意があれば医療保険で受けられます。初回に見え方をうかがってから段取りを決めます。

お灸は怖くないですか?
火を扱うことを毎回はっきり伝え、どこに何個置くのか、いつ取るのかも言葉にします。熱さを感じた時点ですぐ知らせていただければ、その場で取ります。

部屋を片づけておいたほうがいいですか?
そのままで結構です。施術のためにどけた物は終わったら元の場所へ戻します。見えにくい方は物の位置を記憶で覚えているので、よかれと思って動かさないのが約束ごとです。

糖尿病もあります。気をつけることは?
足の感覚が鈍くなっていることがあります。施術のたびに足の裏、指のあいだ、かかとの皮膚を見せていただき、気になる変化はその日のうちにお伝えします。処置は医療機関の役目です。

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