訪問入浴と訪問鍼灸マッサージは同じ日に使える?|順番と間のあけ方、体の負担を減らす組み立て

訪問入浴と訪問鍼灸マッサージ、どちらかを選ばなければいけないのか。同じ日に入れてもいいのか。そう聞かれることがあります。制度が違うので両方使えますが、順番と間隔で体の負担はずいぶん変わります。ここでは、週の組み立て方を具体的に整理します。

この記事のポイント

訪問入浴は介護保険、訪問鍼灸マッサージは医療保険と、使う制度が違うので、どちらも受けられます。同じ日に重ねてもかまいませんが、入浴のあとは血圧や水分の状態が動きやすいので、30分ほど休んでから施術に入ると体がらくです。鍼やお灸をした日は、そのあとの入浴まで少し間をあけます。費用は1回の総額が3,950円、1割負担の方で395円が目安です。

訪問入浴と鍼灸の施術は、いっしょに使えるのか

訪問入浴介護は介護保険のサービスで、専用の浴槽を持ち込み、看護職員を含む数名で入浴を介助します。訪問鍼灸マッサージのほうは医療保険の療養費で行うもので、医師の同意書をもとに、腰痛症や五十肩、頸肩腕症候群、神経痛といった病名で受けます。立っている制度がそもそも違うので、どちらかを選ばなければならない、ということはありません。

介護保険には月ごとの支給限度額がありますが、鍼灸の施術はその枠の外にあります。訪問入浴を週に何度か使っていて限度額に余裕がない状態でも、体の痛みやこわばりの手当てを別に足せます。ケアプランに載せる書類上の必要は原則ありませんが、同じ家に出入りする者どうしですので、担当のケアマネジャーには入っていることをお伝えしておくと段取りが組みやすくなります。

同じ日に両方を入れてもいい?順番で変わること

同じ日に両方を入れること自体はできます。ただ、順番と間隔で体の負担がずいぶん変わります。入浴は思っているより体力を使いますし、湯につかったあとは血圧が下がりやすく、汗で水分も抜けています。その直後に施術を重ねると、だるさやふらつきが出ることがあります。

組み立てとしては、入浴が先で施術があと、しかも少し間をあける形が扱いやすいと感じています。施術を先にする場合は、鍼やお灸のあとまもなく湯につかることになりますので、こちらも時間をあけます。どちらの順でも、あいだに休む時間をはさむのがこつです。曜日を分けられるなら、そのほうが一日の負担は軽くなります。

入浴のあと、どのくらい間をあけると体がらくか

目安は30分ほどです。着替えと水分をすませ、呼吸と脈が落ち着いてから始めます。訪問入浴では前後に体温・血圧・脈を測りますので、そのときの数値を教えていただけると、その日の施術の量を決める手がかりになります。ふだんより血圧が低め、脈が速い、顔色が戻らないという日は、量を減らすか、うつぶせや長く同じ姿勢でいることを避けます。

体力の落ちている方や、心臓や血圧の病気をお持ちの方は、間をもう少し長めにとります。入浴のあとに1時間ほど眠ってしまう方もめずらしくありません。無理に起こしてまで行う理由はありませんので、時間をずらすか別の日に振り替えます。費用は受けた回数の分だけです。

施術のあとに入浴する日の、鍼とお灸の扱い

鍼を使った日は、刺したあとの小さな点がしばらく残ることがあります。すぐに湯につかるより、少し時間をおいてからのほうが落ち着きます。お灸をした場所は薄く赤みが出ることがあり、タオルで強くこすると刺激になります。入浴の予定がある日は、先に教えていただければ、使う場所や本数をそれに合わせます。

施術のあとは入浴を控えなければならない、という決まりがあるわけではありません。体の状態と、その日の予定に合わせて組み立てるだけのことです。入浴が午前で施術が午後、というふうに離れていれば、特別な配慮はほとんどいりません。

入浴のときに見えた皮膚の様子を、施術に生かす

訪問入浴の時間は、全身の皮膚をていねいに見られる数少ない機会です。かかと、仙骨、股関節の外側、肩甲骨のとがった部分。横になっている時間が長い方は、この辺りに体重の圧がかかります。押しても白くならない赤みが出ていたら、床ずれの入り口です。入浴のスタッフが気づいた変化を、ご家族を通して教えていただけると助かります。

私たちの側でも、うかがうたびに同じ場所を見ます。赤みのある部分には体重をかけず、その周りの筋肉をゆるめて、向きを変えやすくすることを考えます。皮膚の処置そのものは医療機関や訪問看護の役割ですので、気になる変化に先に気づいたときは、こちらからも早めにお伝えします。

湯ざめと脱水|入浴した日の体調をどう見るか

冬場は、入浴のあとにかえって体が冷えてしまうことがあります。髪が乾ききっていない、部屋と脱衣の場所の温度差が大きい、といったときです。施術に入る前に、上着や毛布で肩と足首をおおいます。感覚の鈍くなっている方に湯たんぽや電気の温熱を直接あてるのは避けます。低い温度でも、長く触れていればやけどになります。

夏場と、冬でも暖房のきいた部屋では、入浴後の水分不足に気をつけます。口の中が乾いている、尿の量が減っている、皮膚をつまむと戻りが遅い。こうしたときは、水分をとって落ち着いてから始めます。飲み込みに不安のある方は、とろみのつけ方をふだんどおりにしてください。

週の組み立て方は?曜日を決めておくと続けやすい

訪問入浴も鍼灸の施術も、曜日と時間を決めてしまうほうが続きます。ご本人にとっては今日は何が来る日かが分かりやすく、ご家族も前後の予定を立てられます。私たちの側も、決まった間隔でうかがうほうが、前回との違いに気づきやすくなります。

入浴が週に2回なら、施術はその合間の日に置くのが一つの形です。両方を同じ日にまとめて、ほかの日を空けておきたいというご希望もあります。どちらが正解ということはなく、ご本人の体力と、ご家族が付き添いやすい時間帯から決めます。始めてから変えてもかまいません。

費用はどうなる。介護保険とは枠が別です

訪問入浴の利用料は介護保険から支払われ、月の支給限度額の中で計算されます。鍼灸の施術は医療保険の療養費ですので、この限度額とは関わりがありません。限度額がいっぱいだから体の手当てをあきらめる、という順序にはならずにすみます。

施術の費用は、1回あたりの総額が3,950円です。1割負担の方で395円、2割負担の方で790円が目安になります。表示の金額のほかに出張料などを別にいただくことはなく、お住まいの場所によって金額が変わることもありません。お支払いは月ごとにまとめていただき、施術の内容が分かる明細をお渡しします。うかがえる地域は、豊中市・吹田市・茨木市・高槻市・箕面市・摂津市・池田市、尼崎市・伊丹市、大阪市の淀川区・東淀川区・都島区・北区・旭区です。

入浴の事業所やケアマネジャーへ、何を伝えておくか

お伝えしておくとよいのは、鍼灸の施術が入っていること、その曜日と時間、そして施術で触れない場所です。傷やかぶれ、点滴の入っている腕、装具のついているおなかなど、避ける場所の共有の仕方は事業所ごとに違います。連絡ノートが家にあれば、そこに一行書き足すだけでも伝わります。

反対に、入浴の側から教えていただきたいこともあります。その日の血圧と体温、入浴を見合わせた日とその理由、皮膚の変化。これが分かると、施術の量とやり方を合わせられます。担当者会議に呼んでいただければ出席し、日程が合わなければ書面でお伝えします。

入浴の前後で、こんな変化があれば受診が先です

入浴中や入浴のあとに、呼びかけへの返事が鈍い、意識がはっきりしない、唇や爪の色が悪い。こうしたときは施術ではなく、すぐに主治医や訪問看護へご連絡ください。胸の痛みや冷や汗をともなう息苦しさ、ろれつが回らない、片側の手足に力が入らないといった変化は、救急の対応が要ります。

急ぎではなくても早めの受診がよいのは、押しても白くならない赤みや水ぶくれ、日をまたいで下がらない発熱、数日のうちに急に食べられなくなった、といったときです。転んだあとに足の付け根が痛くて立てないなら、骨折のことがあります。私たちが先に気づいた場合は、その日の施術を見合わせて、ご家族と主治医にお伝えします。

よくある質問

訪問入浴と同じ日に受けられますか?
受けられます。制度が違うので併用できます。ただ入浴後は血圧が下がりやすく水分も抜けているので、30分ほど休んでから始めると体が楽です。

どちらを先にするのがいいですか?
入浴が先で施術があと、という順が扱いやすいと感じています。施術を先にする場合は、鍼やお灸のあと入浴まで少し間をあけます。曜日を分けられるなら、そのほうが一日の負担は軽くなります。

介護保険の限度額を使いますか?
使いません。鍼灸の施術は医療保険の療養費なので、介護保険の支給限度額とは別の枠です。訪問入浴の回数を減らす必要はありません。

施術した日にお風呂に入っても大丈夫ですか?
差し支えありません。ただ、鍼のあとの小さな点やお灸の赤みが落ち着くまで少し時間をおくほうが安心です。入浴の予定がある日は先に教えてください。

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