お薬の種類が多いご家族へ|ふらつきやだるさと薬の関係、訪問で気づけること

立ち上がったときにふらつく。日中うとうとしている時間が長い。口の中が乾く。食が細くなった。こうした様子が続くとき、飲んでいるお薬が関係していることもあります。この記事では、訪問で何に気づき、何を記録して医療者へ渡しているかをお伝えします。

この記事のポイント

お薬の数が多いと、ふらつきやだるさ、食欲の落ち込みが薬によるものなのか体の変化なのかが見分けにくくなります。増やす減らすを決めるのは主治医と薬剤師で、当院が判断することはありません。ただ週に一度二度うかがう訪問では、飲み残しの増え方や調子の崩れる時間帯に気づけます。気づいたことは記録してご家族と医療者へお渡しし、体のこわばりは保険を使って手当てします。

薬の袋が増えたころから、家の中の困りごとも増えていませんか

血圧の薬、痛み止め、胃薬、眠る前の薬、便秘の薬。処方を出す先が内科と整形外科と皮膚科に分かれていくうちに、朝と昼と夕と寝る前で飲む顔ぶれが違うという状態になっていることがあります。一包化してもらっていても、テーブルの上に袋がいくつか残ったままになっている。ご家族が気づくのはたいてい、その残った袋を見つけたときです。

飲む薬の種類が多い状態は、医療の世界ではポリファーマシーと呼ばれています。数が多いこと自体が悪いのではなく、必要があって出ている薬は必要です。ただ数が増えるほど副作用の重なりが起きやすくなり、転倒やもの忘れのように見える変化につながることがあるとも言われています。多いか少ないかではなく、今の体に合っているかを定期的に見てもらう機会が要ります。

「年のせい」と片づける前に、薬という可能性を置いてみる

立ち上がったときにふらつく。日中うとうとしている時間が長い。口の中が乾く。食が細くなった。前より話がかみ合わない気がする。こうした変化は加齢のせいにされがちですが、薬の影響としてあらわれることもあります。とくに新しい薬が始まった直後や量が変わった直後は、見ておきたい時期です。

とはいえ、当院が「この薬のせいです」と申し上げることはありません。それは主治医と薬剤師が決めることです。私たちにできるのは、いつごろから変化が出たのか、そのころ薬に変更がなかったか、という時間の並びを記録に残すことです。診察の場でご家族が「3週間前に薬が変わって、その翌週からふらつきが出ています」と言えるかどうかで、話の進み方が変わります。

鍼やお灸で薬は減らせますか、と聞かれたときのお答え

減らせます、とは申し上げません。痛みやこわばりが楽になったと感じられる方はいらっしゃいますが、それは薬を減らしてよいという判断とは別の話です。自己判断で止めるのも避けてください。痛み止めや眠る前の薬、血圧の薬には、急にやめると体が揺り戻す種類のものがあります。

楽になってきたと感じたときこそ、その実感を診察で伝えてください。痛み止めを飲む回数が週に何回になったか、夜中に何度目が覚めるか。こうした変化が残っていれば、医師と薬剤師が量を見直すときの材料になります。

週に一度二度、体に触れる者だから見えるもの

訪問は決まった曜日に同じ者がうかがいます。同じ部屋にいて体に触れていると、月に一度の診察では見えにくいものが視野に入ってきます。お薬カレンダーがどのます目から残り始めているか。午前はしっかり受け答えされるのに午後は目が閉じがちだ、といった一日の中のむら。ふらつきが強く出る時間帯。手のふるえ。ぶつけた覚えのない青あざ。

見えたことは、その場で解釈せずに書き留めます。連絡ノートに日付と、ご本人の言い方のまま。それをご家族へ、ご希望があればケアマネジャーや訪問看護の方へも渡します。判断をする人たちの手元に、そのもとになる材料が届くようにするだけです。

飲み残しが増えるのは、忘れているからだけではありません

残薬の理由は人によってまったく違います。指の関節が痛くてシートから押し出せない。錠剤が大きくてのどに引っかかる。袋の小さな字が読めない。副作用がこわくて自分の判断で止めている。理由が違えば打つ手も違います。

このうち、指や手のこわばりは私たちが手当てできる部分です。指の関節まわりや前腕、手のひらの付け根をゆるめて、袋を開ける動作が少しでも楽になるようお手伝いします。のみ込みにくさには、粉にする、口の中で溶ける形に変えるといった工夫が薬局側でできる場合があります。ご自分で止めておられるときは、責めずに理由を聞き、そのまま医療者へ伝えてください。理由を隠されるほうが危ないからです。

お薬の情報を一冊にまとめ、薬剤師に来てもらうという手もあります

複数の医療機関にかかっていると、お薬手帳が病院ごとに分かれてしまいます。一冊にまとめておけば、飲み合わせを確かめるときに全体が一目で分かります。書き足していただきたいのは処方薬だけではありません。ご自分で買ってこられた痛み止めや湿布、健康食品も、同じ紙に並んでいることに意味があります。

通院が難しくなった方のために、薬剤師が自宅へ来て飲み方の整理や残薬の確認に応じる仕組みもあります。使えるかどうかや費用は状況によって変わり、当院で可否を申し上げられませんので、ケアマネジャーか主治医、かかりつけ薬局に確かめてみてください。なお訪問鍼灸マッサージは医療保険の療養費ですから、介護保険の限度額がいっぱいでも、その枠を圧迫することなく受けていただけます。

飲んでいる薬によって、施術で気をつけること

血を固まりにくくする薬をお飲みの方は、内出血が出やすくなります。鍼は本数を絞り、押す力も控えめにします。小さな青あざは出ることがありますが、広がる、痛みが強い、いつまでも消えないというときはご連絡ください。ステロイドを長く使っておられる方も、皮膚が薄くなっていることがあるため同じように扱います。糖尿病の薬をお使いの方では、食事が取れていない日や注射の直後を避けて枠を組みます。

貼り薬も確かめておきたいものの一つです。痛み止めのほかに、心臓の薬や認知症の薬、パーキンソン病の薬が貼る形で出ていることがあります。貼ってある場所は触れない場所として最初から外し、私たちがはがして貼り直すことはしません。眠る前の薬が効いている時間帯も、受け答えがつらくなるため避けて時間を決めます。初回にお薬手帳を見せていただくのは、中身を評価するためではなく、こうした段取りのためです。

手当ての中心になるのは、どこか

お薬が増えていく時期は、通院や外出が減っていく時期と重なりがちです。座って過ごす時間が長くなると、股関節の前、膝の裏、ふくらはぎから足首にかけてが縮んで硬くなります。ふらつくから動かない、動かないからさらに硬くなる、という順で進みます。鍼とお灸を中心にこうした場所をほぐし、関節が動く幅を保つのが施術の中身です。手技や体を動かす練習も加えます。これらに追加の料金はかかりません。感じ方には個人差があり、土台はあくまで医療とリハビリです。

保険を使う条件にも触れておきます。薬が多いことは病名ではありませんから、それだけでは保険の理由になりません。腰痛症や五十肩、神経痛といった体の状態について医師が必要と認め、同意書を書いてくださることが条件です。書類の段取りと更新のご案内は当院で行います。なお同じ部位について、医療保険のリハビリと鍼灸を重ねて算定することはできません。介護保険の訪問リハビリやデイサービスとは枠が別です。

お薬代とは別にかかる費用と、訪問できる範囲

お薬代とは別に施術の費用がかかりますので、金額をはっきりさせておきます。1回の総額は3,950円で、ここから1割負担の方は395円、2割負担の方は790円をご負担いただきます。金額を決めるのは受けた回数で、かかった時間の長さではありません。お支払いは月ごとにまとめていただき、施術の内容が分かる明細をお渡ししますから、あとからでもご確認いただけます。

お問い合わせをいただいたとき、最初に確かめるのはご住所です。大阪市の淀川区・東淀川区・都島区・北区・旭区、兵庫県の尼崎市・伊丹市、そして豊中市・吹田市・茨木市・高槻市・箕面市・摂津市・池田市。うかがっているのはこの14の市と区で、この中であれば住所によって金額が変わることはなく、出張料などを別にいただくこともありません。

こんなときは、施術より先に連絡や受診を

急に片側の手足が動かなくなった、ろれつが回らない、顔の片側がゆがんでいる。このときは救急です。転んだあとに足の付け根が痛くて立てないときは、大腿骨の骨折を考えて整形外科へ。冷や汗や手のふるえとともに急にぼんやりしてきたときは、血糖が下がっている可能性があります。主治医から示されている対応をとったうえでご連絡ください。

薬に関わるものとしては、次の変化を見逃さないでください。黒いタール状の便が出る、歯ぐきや鼻からの出血が止まらない、ぶつけた覚えのない広い内出血が出る。これらは当日のうちに主治医へ。飲み始めて数週間のうちに出た発疹も、様子を見ずに相談してください。それから、頭を打ったあと数週間してからのぼんやり、ふらつき、頭痛の強まり。慢性硬膜下血腫のことがあり、血を固まりにくくする薬をお飲みの方ではとくに気をつけたい変化です。

よくある質問

鍼灸で薬を減らせますか?
減らせます、とは申し上げません。痛みやこわばりが楽になったと感じられる方はいらっしゃいますが、それは薬を減らしてよいという判断とは別の話です。自己判断でやめるのも避けてください。

薬のせいかどうか分かりますか?
当院が判断することはありません。いつごろから変化が出たのか、そのころ薬に変更がなかったか、という時間の並びを記録に残し、主治医と薬剤師にお渡しします。

血をさらさらにする薬を飲んでいます
内出血が出やすいため、鍼は本数を絞り、押す力も控えめにします。小さな青あざは出ることがありますが、広がる、痛みが強い、消えないというときはご連絡ください。

お薬手帳は見せたほうがいいですか?
初回に見せていただけると助かります。中身を評価するためではなく、貼り薬の場所を避ける、眠る前の薬が効く時間帯を外すといった段取りのためです。

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