
帯状疱疹の発疹はきれいに治ったのに、ピリピリと刺すような、焼けるような痛みだけが残ってしまう。衣類がふれるだけで痛い、夜になると強まって眠れない。そんな帯状疱疹後神経痛は、高齢の方に残りやすいといわれ、見た目に傷がないぶん周囲に伝わりにくいつらさがあります。この記事では、まず医療の受診を優先すべき理由を整理したうえで、慢性の痛みに移った段階で訪問鍼灸マッサージをどう組み合わせられるかを、費用も含めてお伝えします。
この記事のポイント
帯状疱疹後神経痛では、発疹が出ている急性期はまず皮膚科・内科での抗ウイルス薬などの治療が最優先で、早い治療が後遺痛の予防につながります。皮膚が治ったあとの痛みも、まず医師に相談を。薬などの医療が治療の中心で、鍼灸はそれを補う立場です。医師が必要と認めれば、訪問鍼灸マッサージを医療保険(すべて鍼やお灸で算定)で受けられ、ご自宅で1回受けたときの自己負担は1割の方で約395円(総額3,950円)が目安。効果には個人差があります。
発疹が治ったのに、痛みだけが残っている
帯状疱疹の水ぶくれやただれは、時間がたてば皮膚としては落ち着いていきます。ところが、見た目がきれいになったあとも、その場所にピリピリとした痛みや、焼けるような感覚、ぎゅっと締めつけられるような重さが居座り続けることがあります。これが帯状疱疹後神経痛(PHN)と呼ばれる状態です。皮膚は治ったのに痛みの信号だけが神経に残ってしまう、というイメージが近いかもしれません。
とくに厄介なのがアロディニアと呼ばれる症状です。本来なら痛くないはずの刺激、たとえば服の生地がこすれる、エアコンの風がすっと当たる、そんな程度のことで鋭い痛みが走ります。着替えがおっくうになったり、痛む側を下にできなくて夜眠りが浅くなったりと、生活の細かいところに影響が及びます。ご高齢の方や、発疹が出ていた急性期の痛みが強かった方ほど残りやすいと言われています。
発疹が出ている間は、まず皮膚科へ
ここははっきりお伝えしておきます。赤みや水ぶくれが出ている急性期、つまり帯状疱疹そのものの時期は、鍼灸の出番ではありません。できるだけ早く皮膚科などを受診して、抗ウイルス薬による治療を受けることが何よりの優先です。治療を始めるのが早いほど、そのあとに痛みが残りにくいとされていて、急性期の対応がのちのPHNを左右する面があります。
目のまわりや顔に発疹が出た場合は、視力などに関わることもあるため、ためらわずに受診してください。すでにPHNの段階に入っていて、神経の痛みを抑える内服薬などを使うかどうかも、これは医療の判断です。まずは主治医、あるいはペインクリニックに相談するのが筋道になります。私たちがお手伝いできるのは、その医療の土台があってこそ、という位置づけです。
鍼灸・マッサージが手伝えること
痛みが長引くと、人はどうしてもその部分をかばいます。腰やわき腹が痛ければ、無意識に体をひねらないように動き、首や肩、体幹の筋肉が固まっていきます。すると血のめぐりが落ちて、こわばりがまた痛みを呼ぶ、という重たい流れができてしまう。訪問での施術がねらうのは、この二次的にこわばった筋肉をやわらげ、めぐりを助けることです。
大事な前提として、発疹やただれが残っている部位に直接はりを打ったり強く揉んだりすることはしません。皮膚の状態を見ながら、痛む場所そのものではなく、その周辺や関連する筋肉に働きかけていきます。刺激の強さも一人ひとりの感じ方に合わせて加減します。これは帯状疱疹後神経痛を治すものではありませんし、効果を断定できるものでもありません。感じ方には個人差があります。主治医に相談しながら、その日の体に合わせて続けていく補助的なケア、と受け止めていただくのがちょうどよいと思います。
通うのがつらい時期に、自宅で受けられる
痛みが強い時期に、電車やバスに乗って施術院まで出かけるのは、それだけで消耗します。座っているのがつらい、待合室で長く待つのが不安、そういう声はよく聞きます。訪問という形なら、いつもの布団やソファでそのまま体を横にして受けられるので、移動で痛みを増やさずに済みます。
ご家族が付き添う負担も軽くなります。決まった曜日と時間にこちらから伺うので、生活のリズムのなかに組み込みやすいのも、通院にはない利点です。同じ神経の痛みでお困りの方に向けては、三叉神経痛・顔の痛みがつらいときのページもあわせてご覧ください。
医療保険で受けられる場合があります
帯状疱疹後神経痛は、保険の対象になる6つの疾病のうち「神経痛」の一種にあたります。正式には神経痛・リウマチ・頸肩腕症候群・五十肩・腰痛症・頸椎捻挫後遺症が対象で、医師が治療の必要を認めた場合に、医療保険(療養費)での鍼灸が受けられます。
必要になるのは医師の同意書です。要介護認定は関係なく、認定を受けていない方でも利用できます。介護保険を使っている方の場合も、その限度額とは別枠なので、枠とは別に併用できます。ひとつだけ注意点として、同じ部位について医療保険のリハビリを受けている場合、そこと鍼灸を同時に算定することはできません。関節を動かす機能訓練は施術のなかに含んでいて、別料金はかかりません。手続きのくわしい流れは「神経痛は保険で受けられる?」をご覧ください。
料金の目安
1回の施術は総額3,950円です。医療保険が使えると、自己負担はこの一部で済みます。1割負担の方で約395円が1回あたりの目安になります。
たとえば週2回のペースで続けた場合、1割負担の方なら1か月でおよそ3,160円。金額の感覚がつかめると、続けやすさも考えやすくなると思います。負担割合はお持ちの保険証で変わりますので、はっきりさせておきたい方は最初にお声がけください。
まずは相談から始めてください
皮膚の症状がどこまで落ち着いているか、いま主治医からどんな治療を受けているか。そのあたりを伺ったうえで、鍼灸が手伝える段階かどうかを一緒に確かめるところから始めます。無理に勧めることはしません。医療と役割を分けながら、痛みでこわばった体を少しでも楽にしていく、その一歩をお手伝いできればと思っています。気になることがあれば、遠慮なくご連絡ください。
よくある質問
発疹が出ている今からでも受けられますか?
発疹が出ている急性期は、まず皮膚科や内科などで抗ウイルス薬などの治療を受けることが最優先です。早い治療は後に残る痛みの予防にもつながります。鍼灸はこの時期の治療に代わるものではなく、診断と治療を受けて発疹が治まり、慢性の痛みに移って医師が必要と認めた段階で、補助として組み合わせられます。開始の時期はご相談ください。
費用の目安を教えてください。
医療保険を使った場合、1回の施術は総額3,950円で、自己負担は1割の方で約395円が目安です。週2回のペースなら、ひと月の自己負担は1割の方でおよそ3,160円。介護保険の限度額とは別枠のため、他のサービスと併用しても枠とは別に受けられます。
高齢の家族に残った帯状疱疹後の痛みでも受けられますか?
長引く神経の痛みについて医師が治療の必要を認め、通院がむずかしい状態であれば対象になる場合があります。高齢の方は痛みが残りやすいといわれます。まずは皮膚科や内科など医療機関で診てもらい、そのうえでご相談ください。手続きに必要な同意書まわりはのびのびがお手伝いします。
ピリピリ・焼けるような痛みは和らぎますか?
痛む部分のまわりのこわばりを穏やかに和らげ、体を楽にすることで、つらさがやわらいだと感じる方がいます。ただし痛みを完全になくすものではなく、感じ方には個人差があります。皮膚が過敏な部分には無理な刺激を加えず、状態を見ながら慎重に進めます。
触れると痛くて我慢できません。それでも受けられますか?
無理に痛む部分へ触れることはしません。離れた部位からのケアや、負担の少ない方法で進め、その日の皮膚や体の様子に合わせて刺激の強さを細かく加減します。楽な姿勢のまま受けられますので、つらさや気になることは遠慮なくお伝えください。
対応しているのはどのエリアですか?
大阪府の豊中市・吹田市・茨木市・高槻市・箕面市・摂津市・池田市、大阪市の淀川区・東淀川区・都島区・北区・旭区、兵庫県の尼崎市・伊丹市に伺います。別途の出張費はかからず、エリア内はどこでも同額です。エリアの境目で迷うときはお問い合わせください。
医師の同意書はどう用意すればよいですか?
保険の利用には医師の同意書が必要です。主治医にお願いする形になりますが、いつ、どのように依頼すればよいかを含め、手続きはのびのびが進めます。かかりつけの医師がいない場合の進め方も、状況に合わせてご案内します。
介護保険のサービスを使っていても受けられますか?
受けられます。訪問鍼灸マッサージの費用は医療保険で計算し、介護保険の区分支給限度額とは別枠です。デイサービスや訪問介護などを利用中でも、その枠を圧迫しません。ケアマネジャーと連携しながら、無理のない形を一緒に整えます。