
「肩が張ってつらそう」「足が冷えてむくんでいる」。そんな親御さんの体を、少しでも楽にしてあげたくて、自分でマッサージをしてあげたい——そう考えるご家族は、とても多くいらっしゃいます。その気持ちは、何よりのケアです。ただ、高齢の方の体はデリケートで、良かれと思ったことがかえって負担になることもあります。ここでは、ご家族が安心してマッサージをしてあげるための、やさしいやり方と気をつけたい点、そしてプロのケアとの使い分けを、施術者の立場からお伝えします。
要点から。ご家族が家庭の中でマッサージをしてあげるのは、問題ありません。コツは「痛気持ちいい」の手前の弱さで、短く、温めながら。熱・腫れ・強い痛み・片足の急なむくみがあるときは控えて受診を。ご家族の手のぬくもりと、医師の同意にもとづく訪問鍼灸マッサージ(1術で総額3,950円、1割で約395円が目安)は、どちらか一方ではなく、組み合わせるのがおすすめです。
「自分でマッサージしてあげたい」——その気持ちは、とても自然です
離れて暮らす親、同居する親、施設にいる親。かたちはさまざまでも、「体がつらそうな親を、少しでも楽にしてあげたい」という思いは同じです。肩をさすると気持ちよさそうにする、足を温めると「ああ、楽になった」と言ってくれる——そのやりとり自体が、ご本人にとってもご家族にとっても、かけがえのない時間になります。
手で触れること、さすること、温めること。こうしたふれあいは、体のこわばりをやわらげるだけでなく、「気にかけてもらえている」という安心にもつながります。まずは、その気持ちと行動を大切にしてください。そのうえで、いくつか知っておくと安心なことをお伝えします。
家族が親にマッサージをするのは、問題ありません
「資格がないのにマッサージをして、違法にならないの?」と心配される方がいます。結論からお伝えすると、ご家族が家庭の中で親御さんの体をさすったり温めたりするのは、問題ありません。
あん摩マッサージ指圧師などの国家資格が必要とされるのは、マッサージを「業として」——つまり反復・継続する意思をもって、不特定の方に向けて行う場合です。ご家族が、暮らしの中でご本人のためにしてあげるケアは、これにはあたりません。安心して、日々のふれあいとして続けていただけます。判断に迷うときは、かかりつけの先生に一言たずねておくと、より安心です。
してあげる前に——「やめておいたほうがよいとき」
やさしいマッサージでも、体の状態によっては控えたほうがよいときがあります。次のようなときは、無理に行わず、まずはかかりつけ医にご相談ください。
熱があるとき。患部が赤く腫れて熱をもっているとき。ぶつけた・転んだあとで、強い痛みや骨折の疑いがあるとき。皮膚に傷や湿疹、内出血があるところ。食べてすぐや、体調がすぐれないとき。そして、片方の足だけが急にむくんで、痛みや熱をもっているとき——これは血のめぐりのトラブルのサインであることがあり、さすらずに、早めに受診してください。
持病があってお薬を飲んでいる方や、ペースメーカーなどを使っている方も、始める前に一度、主治医に確認しておくと安心です。「これくらい大丈夫だろう」と自己判断せず、迷ったら受診——この目安さえ守れば、ご家族のマッサージはぐっと安全になります。
やさしいマッサージの基本——「痛気持ちいい」より、手前で
いちばん大切なのは、強さです。テレビで見るような「グイグイ揉む」やり方は、高齢の方には向きません。皮膚や血管、骨がもろくなっていることがあり、強い力は内出血や痛み、ときに骨折につながることもあります。「痛気持ちいい」の一歩手前、さするくらいの弱さで十分です。
コツは、いくつかあります。まず、いきなり触らず、手のひらで包むようにゆっくりと。手足は、末端(指先・つま先の側)から体の中心に向けて、やさしくなでるように。冷えているところは、さする前に蒸しタオルなどで温めると、めぐりを助けます。時間は長く続けるより、短くこまめに。そして何より、「痛くない?」「気持ちいい?」と声をかけ、表情を見ながら。ご本人が心地よいと感じることが、続けられるいちばんのコツです(感じ方には個人差があります)。
部位別の、ちょっとしたコツ
肩や首は、こりが気になりやすいところですが、首は強く押さず、肩から背中にかけてを手のひらで大きくさする程度に。腰は、押すよりも、手のひらで温めるようにさすってあげると、こわばりがやわらぎやすくなります。手は、握手をするように包んで、指を一本ずつやさしく。足は、ふくらはぎを下から上へ、そっとなで上げるように。むくみが気になる足も同じですが、先ほどお伝えしたとおり、片足だけの急なむくみは受診が先です。どの部位も、「ほぐす」というより「さすって温める」くらいの気持ちで十分に届きます。
「よかれと思って」が、逆効果になることも
ご家族はどうしても「しっかり効かせてあげたい」と思い、力が入りがちです。けれど、強く揉んだ翌日に「かえって痛くなった」「あざになった」というのは、実際によくあることです。高齢の方の体は、若い方と同じ感覚で扱うと負担が大きすぎます。物足りないくらいでちょうどいい、と覚えておいてください。長時間の連続も避け、「短く、やさしく、こまめに」を基本に。もし、さすっても痛みが強い、しびれがある、といったときは、マッサージで解決しようとせず、体からのサインとして受診を検討してください。
家族のマッサージと、プロの施術は「どちらか」ではありません
ご家族の手には、プロにはない良さがあります。安心感、ぬくもり、毎日そばで続けられること。これは何より大切なケアです。一方で、専門的なケアが向く場面もあります。訪問鍼灸マッサージは、医師の同意にもとづき、国家資格を持つ施術者が、はり・きゅう・マッサージに機能訓練を組み合わせて行うものです。神経痛や関節リウマチ、五十肩、腰痛症など、症状によっては医療保険(療養費)の対象になり、住み慣れた自宅で受けられます。
大切なのは、「家族がやる」か「プロに任せる」かの二択にしないことです。日々のふれあいはご家族が続けながら、体のこわばりや痛みがしっかりあるところは専門家に——そう役割を分けると、ご本人にとっていちばん心地よく、ご家族の負担も軽くなります。効果の感じ方には個人差があり、鍼灸やマッサージは医療にとって代わるものではありませんので、痛みや不調が続くときは、まず医療機関の受診が基本になります。
費用のこと、そして、まずできること
専門のケアを頼む場合、訪問鍼灸マッサージは1術で総額3,950円、1割負担の方なら1回およそ395円が目安です。訪問にかかる費用も料金に含まれており、別途の出張費をいただくことはありません。介護保険の限度額とは別の枠で、要介護認定がなくても、医師の同意書があれば受けられます。1回20〜30分ほどで、機能訓練を組み合わせても追加料金はかかりません。
のびのびがうかがえるのは、大阪市・北摂・阪神間です。「うちの親の場合はどうだろう」と迷ったら、ご本人が乗り気でない段階でも、まずはご家族だけでご相談いただけます。ご希望があれば、無料体験からお試しいただくこともできます。ご家族の手のぬくもりに、専門のケアを少し足す。その組み合わせを、その方の暮らしに合わせて一緒に考えます。
よくある質問
家族が親にマッサージをするのは、違法ではないですか?
ご家族が家庭の中で無償でさすったり温めたりするのは問題ありません。資格が必要とされるのは、マッサージを「業として」——反復・継続する意思をもって不特定の方に向けて行う場合です。日々のケアとしてのふれあいは、安心して行っていただけます。
どのくらいの強さでやればいいですか?
「痛気持ちいい」の一歩手前、さするくらいの弱さで十分です。高齢の方は皮膚や血管、骨がもろくなっていることがあり、強く揉むと内出血や痛みにつながることがあります。ゆっくり、短い時間から始めてください。
やらないほうがよいのは、どんなときですか?
熱があるとき、患部が赤く腫れて熱をもっているとき、強い痛みや骨折の疑いがあるとき、片方の足だけが急にむくんで痛むときなどは控えて、まずかかりつけ医にご相談ください。判断に迷うときも、無理をせず医療機関に確認するのが安心です。
毎日やっても大丈夫ですか?
さするようなやさしいマッサージなら、毎日少しずつでも構いません。長い時間よりも、短くこまめにのほうが体にやさしいです。ご本人が心地よいと感じる範囲で続けてください。
家族がやるのと、プロに頼むのは何が違いますか?
ご家族のマッサージは、大切なふれあい・スキンシップです。一方で訪問鍼灸マッサージは、医師の同意にもとづき国家資格を持つ施術者が行うもので、症状によっては医療保険(療養費)の対象になります。どちらかではなく、組み合わせるのがおすすめです。
プロに頼む場合、費用はどのくらいですか?
訪問鍼灸マッサージは1術で総額3,950円、1割負担の方で1回およそ395円が目安です。訪問にかかる費用も料金に含まれ、別途の出張費はいただきません。明細は月ごとにお渡しします。


