働きながら親の介護をしているご家族へ|仕事を辞めずに続けるために、訪問でできること

「本人は行きたがっているのに、連れて行く時間が取れない」。働きながら介護をしているご家族から、よくうかがうお話です。半休を重ねるうちに職場で言い出しにくくなり、気づくと通院の回数そのものが減っていくことがあります。通院のかわりに自宅で受けられる方法として、訪問鍼灸マッサージでどこまでできるのかをまとめました。

この記事のポイント

平日の日中に通院の付き添いをするのは、働きながらではむずかしいことが多いものです。訪問鍼灸マッサージは、医師の同意書があれば医療保険で受けられ、ご自宅にうかがいます。ご家族の立ち会いは必須ではありません。費用は1回の総額が3,950円、1割負担なら395円です。

平日の通院の付き添いは、働きながらでは続けにくい

リハビリも月に一度の診察も、予約が取れるのは平日の日中がほとんどです。勤め先によっては、半休を重ねること自体がむずかしいこともあります。行きたい気持ちはあっても日程が合わない日が続き、間隔があいてしまう。そういうお話をよくうかがいます。

通院の間隔があくと、痛みやこわばりに手が回らない時期が長くなります。訪問という形は、「付き添えないから続けられない」というご事情のまま、家の中で体のケアを続けるためのものです。医療機関での診察や治療が土台であることは変わりません。そのうえで、通えない日の手当てを家の中で足す形になります。

ご家族が家にいなくても受けられますか

これはいちばん多いお尋ねです。ご本人が施術者を家に迎え入れ、体の状態をご自分で伝えられるなら、ご家族の立ち会いがなくても受けていただけます。初回だけはご同席いただき、体のことと家の中のこと、鍵の扱いをそろえておくと、そのあとが進めやすくなります。

ご本人が一人での応対に不安をお持ちの場合は、ヘルパーや訪問看護が入っている時間帯に合わせて訪問枠を取る方法もあります。曜日と時間を固定すれば、次はいつ来るのかをご本人も覚えていられます。

保険で受けるには、何がいるのか

医療保険で受けるには、医師の同意書が必要です。対象になるのは、神経痛、リウマチ、頸肩腕症候群、五十肩、腰痛症、頸椎捻挫後遺症といった病名で、ご自分で通院するのがむずかしい状態にあること。介護保険の要介護認定を受けているかどうかとは、別の話になります。

同意書の様式をご用意し、かかりつけの先生にお渡しするところまでは当院で段取りします。有効期間が近づけば、更新のご案内をこちらから差し上げます。期限はこちらで見ていますので、ご家族に覚えておいていただかなくても進みます。

平日に動けない家族が、手続きをどう進めるか

実際の手続きで、ご家族に動いていただく場面はそう多くありません。お申し込みのお電話と、保険証・負担割合証の確認、そして同意書をお願いする先生を教えていただくこと。この3つが最初にそろえば、あとは書類のやりとりで進みます。

診察に同席できるなら話は早いのですが、むずかしければ、先生にお渡しする書類にご本人の暮らしぶりを書き添えることもできます。「階段の上り下りがつらく、バスに乗って通うのが難しい」といった具体的な事実が判断の材料になります。

1回いくら、ひと月でいくらになるのか

毎月いくらかかるのかは、家計を預かる立場では先に知っておきたいところだと思います。1回の施術の総額は3,950円。1割負担の方なら1回あたり395円、2割負担なら790円です。長さではなく受けた回数で決まりますので、週1回なら月に4回分、週2回なら8回分という計算になります。介護保険の限度額とはまったく別の枠組みですから、デイサービスやヘルパーの回数を削る必要はありません。

うかがえるのは、ご実家が次の市と区にある場合です。豊中市、吹田市、茨木市、箕面市、摂津市、池田市。尼崎市と伊丹市。大阪市の淀川区、東淀川区、都島区、北区、旭区。どこにお住まいでも料金は同じで、出張料などを別にいただくこともありません。

辞めるかどうかを決める前に、相談できる先があります

介護のために仕事を辞めようか迷っている、という話はたびたび聞きます。ただ、収入が途切れると介護そのものが続けにくくなることもあります。介護休業や介護休暇、勤務時間の短縮といった制度は勤め先によって扱いが違いますので、辞める前に会社の人事の担当や、お住まいの地域包括支援センターにお尋ねください。

制度が使えるかどうかを当院が決めることはできません。私たちにできるのは、ご本人の体の状態と、訪問でどこまで担えるのかを、相談の材料として正確にお伝えすることです。ケアマネジャーが決まっていれば、全体の組み立てはその方がいちばんよく把握しています。

訪問した日ごとに、離れているご家族へ何を伝えるか

平日の日中に家にいないご家族にとって、実家の様子は見えにくいものです。訪問した日には、その日の体の様子と、前回から変わった点を連絡ノートに残します。ご希望があればメールでもお送りします。

お伝えするのは、痛みの出方だけではありません。冷蔵庫の中身が減っていない、同じ話が増えた、家の中でつかまる場所が変わった。そうした暮らしの変化は、月に一度帰るだけでは気づきにくく、毎週入る者のほうが先に気づくことがあります。気になった点はケアマネジャーにも同じ内容で共有します。

夜と週末だけの介護で、ご本人の体に起きてくること

日中ひとりで過ごす時間が長くなると、動く用事そのものが減ります。座っている時間が延びるほど、股関節の前側、膝の裏、足首が縮んだままになり、いざ立ち上がるときに脚が伸び切りません。夜にご家族が帰ってから慌てて動こうとして、かえってふらつくこともあります。

手当ての中心は、そうした固まりやすい場所です。加えて、ご本人が「迷惑をかけたくない」と痛みを言わずにいることも珍しくないので、動きや表情から拾うようにしています。感じ方には個人差があり、医療機関の治療とリハビリが土台であることは変わりません。

介護している側の体も、後回しにしない

抱え起こしや入浴の介助が続けば、介護するご家族の腰や肩にも負担が積み重なります。ご自分で医療機関に通えるのであれば、まずはそちらで診てもらってください。訪問の対象になるのは、ご自身にも通院がむずかしい事情がある場合で、そのときはご本人とは別に同意書をいただき、ご自身の保険で受けていただく形になります。

同じ日に続けてお二人分を受けていただくこともできます。費用は一人ずつの計算です。週末しか時間が取れないのであれば、その日にまとめてうかがう組み方も相談できます。

連絡先と薬の一覧を一枚にしておくと、あとが楽になる

働きながらの介護では、関わる人が増えるほど連絡が分散します。かかりつけの病院、ケアマネジャー、訪問看護、ヘルパー、そして当院。薬の一覧と連絡先を一枚にまとめて冷蔵庫に貼っておくと、急に誰かが動くときに探さずに済みます。

制度の面でもう一つ。鍼灸と医療保険のリハビリは、同じ部位を重ねて算定することができません。介護保険のほうで使っている訪問リハビリやデイサービスは、これとは別の枠なので併用に支障はありません。どう組むか迷ったときは、ケアマネジャーを交えて整理しましょう。

電話越しでも、これだけは受診を先にしてください

急に手足が動かない、ろれつが回らない、顔の片側がゆがむ。こうしたときは救急です。転んだあとで足の付け根が痛くて立てない場合は、大腿骨の骨折を疑います。頭を打ったあと、数週間たってからぼんやりする・ふらつく・頭痛が強くなるようなら、慢性硬膜下血腫という遅れて出てくるけがの可能性があります。

離れて暮らしていると、電話越しの声だけで様子を測ることになりがちです。数日食べられていない、尿のにおいが変わって混乱が増えた、片脚だけが腫れて熱をもっている。こうした話が出てきたら、その日のうちにかかりつけか訪問看護に連絡してください。迷う段階でつないでいただいて構いません。

よくある質問

家族が立ち会えなくても受けられますか?
ご本人が施術者を迎え入れ、体の状態をご自分で伝えられるなら受けていただけます。初回だけご同席いただき、体のことと鍵の扱いをそろえておくと、そのあとが進めやすくなります。

平日に病院へ付き添えません。手続きはどうなりますか?
お申し込みのお電話、保険証と負担割合証の確認、同意書をお願いする先生を教えていただくこと。この3つがそろえば、あとは書類のやりとりで進みます。

離れて暮らしています。様子は分かりますか?
訪問した日の体の様子と前回からの変化を連絡ノートに残し、ご希望があればメールでもお送りします。暮らしの変化に毎週入る者が先に気づくこともあります。

介護している私も受けられますか?
ご自身にも通院がむずかしい事情があり、医師の同意が得られれば受けられます。同じ日に続けてお二人分を受けていただくこともできます。費用は一人ずつの計算です。

コラム一覧へ戻る